ICTを使った授業づくりって具体的にどんなことしたらいいの?何が便利?
こんな疑問に答える記事です。
今回の記事ではICTを使った音楽の授業について解説していきます。
GIGAスクール構想により、教員はもとより生徒も一台の端末が付与されるようになり、音楽の授業でもICT機器の活用できるようになっています。みなさんはどのくらい活用していますか?
今はまだICTをほとんど活用していなくても特に何も言われないのではないし不都合も感じないと思います。
でも5年後はそうもいかないと思いますよ?
あと何年もすればかなり本格的にICT環境は拡充されて、「ICTを使った授業が当たり前」になるはず。
いざそうなった時に焦って勉強して使うのは結構しんどいですよ。
今のうちに少しずつ勉強していかなきゃ!
今回は音楽授業の
- 歌唱の授業で
- 器楽の授業で
- 鑑賞の授業で
- 創作の授業で
各分野でのICTの活用法について紹介します。
- 生徒のICT機器の活用法
- 先生のICT機器の活用法
どちらも関係なくいろいろ紹介しています。
私コギトが実践したことのある方法から紹介していきます。
もう知っているものもあるかも知れませんが、自分の授業に役立ちそうなものもあるはず。ぜひご覧ください!
コギト | 音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員。辞めても教材研究が好きで続ける
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意、ICT・時短マニア
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
- ICTを駆使・時短マニアnoteで自作教材をアップ、3000ダウンロードを突破!
- 音楽教員のためのオンラインサークル「ムジクラブ」運営中
以下の目次から見たいところにジャンプできますよ。
歌唱の授業でのICT活用
楽譜をiPadで管理する
楽譜や教科書をiPadで管理すると、iPadだけ音楽室に持っていけばOKになります。
楽譜を管理するには「For Score」というアプリか「Piascore」というアプリを使います。
forScore
forScore, LLC¥3,000posted withアプリーチ
Piascore – スマートデジタル楽譜リーダー
Piascore, Inc.無料posted withアプリーチ
どちらもiPad用のアプリで、Android端末には対応していません。(私コギトは「ForScore」の方を使っています)
楽譜なんて写真に撮って見ればいいんじゃない?わざわざアプリで管理しなくてもいいんじゃ…
楽譜管理アプリは譜めくりしやすいようになっているのがミソ。
- タップですぐ譜めくり。
- 1ページだけめくり、見開き2ページめくり、どちらもできる
- ウィンクで譜めくり、別売りフットペダルで譜めくり
など譜めくりが簡単で、卒業式などで多くの曲を演奏しなければならない時も譜めくりがスマートにできます。
譜めくりをミスって楽譜を落とす、ということもありません。
暗いところでも見やすかったり、メトロノーム機能もついていて手放せない!
↓譜めくりが超便利にできるフットペダル「Blue Turn」。
↓こちらの記事も参考にしてください。
音楽教員がiPad Pro 12.9インチを使ったら便利すぎたという話
歌を録音・録画する
端末にはカメラやマイクがついているものがほとんどなので、授業の演奏を録音・録画することが簡単にできるようになりました。
自分たちの歌声を客観的に聴いてみることは良いフィードバックになることがあるので、活用してみましょう。
端末に内蔵されているマイクも最近のものは結構使えます。
発表会用に録音するなど本格的に音を録音したい場合は以下のような商品もおすすめです。
↑Lightning端子に接続できる高性能マイクです。iPhoneをサッとだしてすぐに高音質録音ができます。端子が対応していればiPadでも使えますね。
パート練習の音取りに使う
「鍵盤アプリ」を使えば合唱のパート練習の音取りにiPadやChrome Bookが使えます。
↓iPadならGarageBandの鍵盤で。
↓ChromebookやPCからならバーチャルピアノがおすすめ。ブラウザ上で弾けます。
楽譜を作成する
楽譜が出回っていない最新の曲などのメロディ楽譜や、ワークシートに載せる譜例など、楽譜を書くことが頻繁にあると思います。楽譜を作成するには「楽譜作成ソフト」を使うと、キレイな楽譜が作れます。
ワークシートも本格的に仕上がりますよ。
初めてソフトを使うと慣れないので手で書く方が速く、イライラしていまうのですが、慣れてくると手書きの何倍ものスピードで綺麗な楽譜を完成させることができます。
保管もデータだから楽。ワークシートへの挿入も簡単。楽譜の修正もすぐにできます。
楽譜作成ソフトは音楽教員の隠れたマストアイテムです!
総合的におすすめの楽譜作成ソフトはSibelius(シベリウス)です。
自分はfinaleを使い始めたので離れられませんが、Siberiusも体験版で使ってみました。
初心者にもわかりやすく、本格的な楽譜もつくれます。
楽譜作成ソフトの選び方や安く買う方法を以下の記事で解説しています。
カワイのスコアメーカーZEROシリーズは楽譜を歌わせることができるのでこちらも用途によってはおすすめ。
合唱のパート練習音源の世界一簡単なつくりかた【スコアメーカーZERO(楽譜作成ソフトレビュー)】
器楽の授業でのICT活用
動画で学ぶ
琴やギター・ウクレレなど器楽の奏法を学習するには動画で学ぶのが手っ取り早いです。先生がその楽器に長けているならまだしも、そうでない場合がほとんど。動画ならプロが無料で教えてくれます。
また、器楽は全員一緒に学ぶより個人で学んで行った方が良い部分が多いです。
それぞれうまい下手があるし、上達の速度もさまざまだもんね。
一人一台動画が視聴できれば、自分の技術の習得具合に合わせて学ぶいくことができます。
演奏を録画・録音する
器楽合奏などで演奏していると「全体でどんな響きになっているのか」はわかりにくいもの。
このような場合は演奏を録画したり録音して聴いてみるのが良いフィードバックになり得ます。
器楽合奏の楽譜を簡単に作成できる
先ほども紹介した「楽譜作成ソフト」ですが、1番威力を発揮するのは「合奏の楽譜」を作成する時です。
スコアを作成すれば、ボタンひとつでパート譜が作れます。
最初にこれができた時は本当に感動しました。
音楽会などで発表する合奏の楽譜を作成するかたは是非楽譜作成ソフトで作業することをおすすめします。
【あると便利!】音楽教員が楽譜作成ソフトを使うメリット・デメリット
鑑賞授業でのICT活用
スライドで曲を解説する
鑑賞授業は教科書とCDで以前は行うことが多かったですが、音楽は見えないもの。口で説明するのがなかなか難しいことも多いです。
スライドを使って視覚的に説明するとわかりやすいこともありますよね
さらにスライドに音源や動画を埋め込んで、
- 一部分だけ、1パートだけ聴かせたり
- 色々な演奏を聴き比べしたり
して、効果的に解説することもできます。次のツイートの動画をご覧ください。
スライドにYouTube動画のリンクを貼って、しかも動画の途中から頭出しで聴かせるということも可能です。
↓以下の記事で音源の編集方法やYouTube動画の便利な視聴方法を紹介しています。
生徒個人で曲を鑑賞する
音楽の鑑賞授業というと「では鑑賞してみましょう」とみんなで一斉に聴くことが多かったですが、今は一人一台端末で一人ずつ曲を聴くことができます。
後ろに座っていて小さい音が聞き取りにくいなどということもなくなり、気になった部分を何度も繰り返して聴いてみることができるなど、良い意味でわがままな鑑賞ができるのが良いところです。
Googleドライブに曲のデータをアップしてGoogleスライドに貼り付けて生徒にURLを配付すると以下のツイートのような画面を生徒が操作して曲の部分を頭出しで聴けたりして便利です。
さらにスライドを全員分コピーして名前や感想を書き込めるようにすれば、音が聴けるワークシートとしても活用可能です。
↓Padletという簡単に使えるアプリでYouTubeの曲の頭出しをタイムラインに載せて表示することもできます。さらにこのタイムライン上に生徒が書き込みをしたりすることもできて、感想の共有やグループワークが簡単になります。
↓生徒の端末で曲を鑑賞させる方法を以下の記事で紹介しています。
【ICT音楽授業のコツ】生徒それぞれの端末で音楽を聴かせる方法!
創作授業でのICT活用
アプリで簡単に創作する
音楽創作のアプリを使えば、曲を作るために今までハードルとなっていた「楽譜を書く・演奏する」などの技術がなくても簡単に曲を作って記録し、音にすることができるようになります。
Chrome Music Lab
音楽づくりのためのアプリはクロームミュージックラボが1番簡単。
一番使えそうなのは「ソングメーカー」。小学生でも簡単に音楽づくりを楽しむことができます。
小学校高学年での創作の課題である「5つの音でせんりつづくり」や「和音の音で旋律づくり」はソングメーカーで楽しく行えそうですね。
Chrome music labやソングメーカーについては以下の記事で詳しく紹介しています。
【すぐわかる!】クロームミュージックラボとは?使い方と音楽授業での活用方法を完全解説!
ソングメーカーの使い方解説!メロディの作り方・保存・提出方法【音は伸ばせません】
↓こんな教材もあります
ソングメーカーの課題付き!パパパの二重唱の鑑賞&創作(+図工)ネタ
GarageBand
iPadが使えるならGarageBandも音楽づくりに最適なアプリで、かなり本格的に曲作りができます。
創作の鉄板の授業として「校歌にドラムをつけよう」という単元をやっていました。
iPadで音楽授業「校歌にドラムをつけよう」① 【GarageBandで創作】〜準備編〜
iPadで音楽授業「校歌にドラムをつけよう」② 【GarageBandで創作】〜授業編〜
GarageBandの使い方については以下の記事で詳しく解説しています。
【iPad使おう!】GarageBandを音楽授業で活用する方法
↓授業で生徒に配れる【全ルビつき】「ガレージバンドの使い方プリント」がダウンロードできます!
GarageBand(ガレージバンド)の使い方プリント!【ICT活用した音楽授業に!】
ICT機器で創作の授業はかなりやりやすくなるから導入するしかないよね。
作った曲を端末で聴き合うことができる
作成した曲を端末で聴き合うことも簡単にできることもICTを使う創作授業のメリットです。
- 端末から音を再生して発表
- 曲のデータをクラウドにアップして紹介
- 感想をjamboardなどで伝え合う
こんなことが簡単にできますので活動が深まりますね
作った曲を発表するのに「楽譜書かなきゃ」「演奏できなきゃ」だと創作の授業嫌いになる。ICTだと作ったらすぐ音になるので良いです。
音楽授業でもICTの活用ポイントがたくさん!
音楽授業では生演奏や歌唱などの身体を使ったアナログな活動ももちろん大切です。
アナログな音楽体験を大事にする中で、ICTの活用を部分的にだけでも取り入れることは有効です。効果的なフィードバックができたり、活動のハードルが下がって、本質的な音楽活動が深まり、授業の質が上がることは間違いないです。
ICTの活用は今後絶対に必要になってくるスキルですよね。
楽典などもプリントではなくでICTを使うと効果的な例はリズム学習です。
↓リズムの学習・トレーニングがスライドを流していくだけで簡単にできます(PowerPointで作っています)
【常時活動や自習に大活躍】
— コギト🎸音楽の教材研究家 (@COGITOmusic) January 21, 2024
のリズムフラッシュカードのPowerPoint・keynoteデータを作りました。
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自習用プリントやオリジナルフラッシュカードを自作できるツールもあります😀
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今回紹介したICTネタ、無理する必要はないので取り組みやすいものから是非活用してみてくださいね!
今回は以上です!
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