

音楽の教員採用試験に合格されたみなさん、おめでとうございます!
4月からの新しい教員生活に向け、いろいろな思いが駆け巡っているのではないでしょうか。

4月から音楽の授業を受け持つことになると思いますが、
私の場合は、4月になって初任校に配属になりフタを開けてみるまでほとんど何の準備もしていなかったので、最初の1年は結構苦労しました。

Contents
音楽教員が採用試験後4月までに準備しておく5つのこと

- 弾き歌いの練習をしておく
- 器楽で扱う楽器(和楽器も)の練習をしておく
- 授業のルーティンネタを仕込んでおく
- 自分が絶対やりたい授業について深めておく
- 授業で便利に使える道具などの準備
もし今あなたが学生やフリーターで来年度の採用までに時間的な余裕があるのなら、
これらを今のうちに取り組んでおくのがベストです。
教員生活が始まると日々の仕事に追い回されますし、
授業以外にも研修や、学校運営の仕事など、初めての教員生活をこなしていくのに精一杯になるはずです。
自分の授業についてじっくり考える教材研究の時間はなかなか確保できません。

①弾き歌いの練習をしておく


合唱や歌唱の指導をする場合、ほとんどの場合は自分で伴奏をピアノなどで弾くことになります。
ただ、「伴奏をピアノで弾く」「伴奏を弾きながら歌う」
ということができるだけでは足りないんです。
「伴奏を弾きながら歌い、生徒の演奏を聴きつつ、時には指示の声を飛ばす」
このくらいのことが求められます。


楽譜を見ながら次の音を確認しつつ、歌詞も見て歌って、さらに生徒の歌も聞いて、
と言われると、神業かよっ、と思うかもしれませんが、
ちょっとしたコツもあります。
- 曲を暗譜してしまう
- 練習の伴奏はメロディ弾きや簡易伴奏にしてしまう
曲を暗譜してしまって、スラスラと弾き歌いができれば、それに加えて指導をすることも格段に簡単になりますので、校歌や絶対にやりそうな曲(中学なら滝廉太郎の「花」とか)の弾き歌いを今のうちにできるようにしておくのがオススメです。

また、完全な伴奏は曲が完成した時に弾くことにしておいて、
いろいろな指導を挟まなければいけない練習の段階では、
- 「メロディだけ弾く」
- 「簡易伴奏で伴奏を弾く」
ことで、弾き歌いにもっていかれる意識を減らして、指導に集中できるようにするのも良いです。
伴奏を弾きながら歌う練習とは別に、
弾き歌いの楽譜を見て、
- 「メロディだけ弾きながら歌う」
- 「右手メロディ、左手はベースかコードを簡単に押さえて弾いてみる」
などの練習をしておくことをおすすめします。
↑割と複雑な伴奏の歌。これを弾き歌いすること自体結構難しい…。
↑右手は歌と一緒にメロディを弾き、左手はベースの音だけ取るようにすると簡単になる。上の楽譜を見て、下の楽譜のように弾き歌いができるような訓練をしておくと現場でかなり使えます。
- 弾き歌いはできるなら暗譜すると指導がやりやすくなる
- 簡単バージョンにアレンジして弾き歌いできるような訓練をしておく
■赴任する学校が決まったら…
音楽の先生に会えたりしたらしめたも。以下のことを質問しましょう。
毎年必ずその学校で歌っている曲は、次の年もほぼ必ず歌うので、知っていれば弾き歌いの練習をしておくなどの準備がしておけますね。
教科書はいろいろな出版社から出されていて、どの教科書を採用しているかによって、取り上げられている曲もさまざま違います。どこの出版社のものを使っているかを聞いておいて、収録曲などはネットで調べましょう。ヤフオクなどで中古の教科書が安値で売られていたりもするので、事前に手に入れておくのもおすすめです。
学校で音楽の授業用に準備されている楽器は何かも確認しておくと良いです。特に和楽器などは学校によって、「琴」「和太鼓」「三味線」などいろいろです。知っていれば準備もできますね。
②器楽で扱う楽器の練習をしておく


音楽の授業の器楽。
何の楽器で指導するかは、「その学校にどんな楽器が用意されているか」に左右されます。

なんてことを4月に入っていきなり言われるとパニックになるので、
(先に述べた)事前の学校訪問などでどんな楽器で指導しているかも確認したいところ。
もちろん、自分の得意な楽器を教えれば指導は上手にできるのですが、
楽器をたくさん用意したりなどの準備が大変です。
特に中学校の場合は、3年間のうちに必ず一度は和楽器に触れさせること、という風に学習指導要領で決められているので、琴・三味線・和太鼓などの和楽器の授業は必ず行うことになります。

また小学校がソプラノリコーダー、中学校ではアルトリコーダーに取り組むことが多いです。
これらの楽器について、しっかりした演奏ができるように、とは言わないまでも、
基本的な演奏とメンテナンスなどの知識を身に付け、指導する曲くらいは演奏できるようにしておくのが望ましいでしょう。

私も和太鼓を教えるために研修で習いに行った先で、そこの先生にお願いしてゲストティーチャーとして学校で指導してもらったことがあります。
学校にはそのような時に講師へ払う謝礼の予算もあるので、もし当てがあるのなら活用されることをオススメします。
さらに言うと、研修で出会った講師に出前授業頼むと、場合によっては研修費で謝礼を払うこともできるので、それができればビジネス的にもwin-winですね。講師の方もお金もらえて宣伝もできるし嬉しいはず。 https://t.co/FcEY8krFUg
— コギト@教員(音楽)パフォーマンス向上ブログ (@PIANISTTEACHERC) December 5, 2020
そのような先生は楽器をたくさん所有していたり、調達できたりもするため、楽器が学校になくてもお願いすれば用意してくれるかもしれません。

③授業のルーティンネタを仕込んでおく

毎回の授業の始めや活動の切れ目などに、
メインの内容以外で「ルーティンネタ」を取り入れると、
- 生徒の緊張も解け、スムーズに授業の導入になる
- 授業にリズムが生まれ、飽きさせない
- 教員のウォーミングアップになる
- 毎回行うので生徒が自主的に動けるから何かあった時の一時的な自習として使える
こんな利点がありますので、ネタをいくつか考えておくと良いと思います。
考えられるルーティンは例えば、
- 発声練習
- 呼吸法や立ちかた指導
- 決まった曲を歌う
- 名曲紹介(簡単な説明と共に1曲鑑賞)
etc…

内容や方法は様々に考えられます。
その時期に取り組んでいる活動や自分の得意なことに合わせて
ルーティンの活動を自分なりにいくつか準備しておくと圧倒的に授業が楽になります。

鑑賞の授業なんかの時には座りっぱなしになるし、最初に歌を一曲歌ってから鑑賞に入るってのも授業のリズム作りにいいかもね。

授業が早く終わってしまった時、メインの内容だけでは授業時間いっぱいはもたない時にも便利ですね。

④自分がやりたい授業を深めておく


四月から教員になるフレッシュマンも、教員歴が長いベテランも、「こんな風に音楽を教えたい!」という思いがあって、音楽教員を志望したのだと思います。
授業でやってみたい分野や単元などが一つはあるのではないでしょうか。

こんな風に題材(曲)や教えてみたい事があったら、働き始めるまでの何ヶ月かで深掘ってみるのもこれから始まる音楽教員生活には有効だと思います。
たとえその内容が働き始めた1年目に使えるような内容ではないにしても、
長い教員生活で必ず使いどころが回ってくるはず。

■教員はとがってナンボ
教員は「なんでも屋」と言われる事があります。
生徒の相手しながら、学校運営の仕事でお金の計算、パソコンもこなし、旅行業者さながら修学旅行の引率まで。
何でもできることはそれはそれで素晴らしいのですが、
さまざまな仕事をこなすようになると、
気づけば「どれもそれなりに薄まってる」状態になりがち。

なんでも屋のジェネラリストが求められる教員であっても、

というトンがった部分を持っているということは、特に経験を重ねた後のキャリアにも影響する大事な要素になるのではないでしょうか。
苦手を潰すのではなく、得意なことにドンドン特化していく意識は大事にした方が良いと思います。

↓こちらの記事から鑑賞授業の教材がみれますので、ご参考にしてみてください。
③授業で便利に使える道具などの準備


音楽の授業で必要な教科書や楽譜、楽器や視聴覚機器などは基本的には用意されています。
ただ、それが
- 自分が実現したい授業にとって十分なものか
- 使いやすい便利なものか
というと、微妙な部分もあります。
また、視聴覚機器などは校内で調整が必要な場合もあるので、手続きをして借りるのが面倒だったりする場合もあります。

- Bluetoothスピーカー
- 楽譜作成ソフト
Bluetoothスピーカーはスマホやタブレットからすぐに音楽をかけたい場合に便利。
こちらの記事も参考にしてみてください。
楽譜作成ソフトは用意されていない学校が多いのが現状。
使えたとしても使えるPCが限られていたり、古いソフトだったりして使い勝手も微妙です。


今では私の教員生活になくてはならないものになっています。
楽譜作成ソフトを使えば、1分足らずでこのくらいの楽譜が綺麗に書けます。圧倒的に時短。
合奏の編曲の時には大活躍です。
後から修正するのも、パート譜作るのも一発でできますのでもう手放せません。 pic.twitter.com/ZyPQO0sN12— コギト@教員(音楽)パフォーマンス向上ブログ (@PIANISTTEACHERC) October 18, 2020
↑学生ならアカデミック版が安く買えます。普段よく目にする出版譜のほとんどはこのフィナーレで作られているので、使いやすさや楽譜の見栄えはピカイチ。
楽譜書くのって、音符を黒く塗ったりする地味な作業がイヤすぎる…。
ソフト使えばそういう手間はゼロ。

まとめ

初めての教員生活。
- 生徒対応
- 授業
- 学校運営や他の教員とのやりとり
- 行事
すべてのことが初めてで、はっきり言って翻弄されます。

今回は音楽の授業に限って採用前の今のうちに準備しておけることを解説しました。
- 弾き歌いの練習をしておく
- 器楽で扱う楽器(和楽器も)の練習をしておく
- 授業のルーティンネタを仕込んでおく
- 自分が絶対やりたい授業について深めておく
- 授業で便利に使える道具などの準備

今日は以上です!
