
この記事は音楽を教えることになった先生に向けて、4月から始まる授業準備の参考になればと思い、書いています。

4月始めの音楽の授業。初めて受け持つ生徒たちにはまず
常時活動を設定してみましょう!

常時活動とは、毎回の授業で行う「定番ネタ」の活動のこと。

この「常時活動」、要するに定番ネタを作っておくメリットは以下があります。
- 短い活動で飽きない・長い期間かけて習得できる
- 授業にリズムや緩急を作ることができる
- 子どもも先生も毎回のお決まりで安心できる
- 授業の時間調整に使える

例えば鑑賞でメインの授業を予定していたのに、オーディオの不具合で鑑賞ができなくなったとかいった場合、
もしその他の活動の準備が何もなければ、
その場で呆然と立ち尽くすしかなくなり、パニックです…(経験あり)。

でも、こんなときに例えば
「普段常時活動として歌っている曲」とかがあれば、
できなくなった鑑賞はやめにして、
歌に活動を切り替えてその場をしのぐことができますね。

と時間も稼げます。
「これがダメならこっち」
と、授業の内容や方法などに保険をかけることは大事です。
また小学校では特にですが、
一つの内容を45分や50分の授業でずっとやっていると
ほぼ飽きられます。(授業力が相当ある先生は別)
メインの授業内容だけで一コマの授業時間を埋めるのではなく、
常時活動のような活動も織り交ぜて
2つ〜3つの活動をテンポよくポンポンと進めていくと、
小学生でも飽きずに授業に参加することができます。

4月は授業開きで最初はなんの貯金もなく、1から授業を作っていくというまっさらな状態で授業がスタートします。
昨年度と同じ生徒を教える先生やベテランの先生なら問題ありませんが、
経験の少ない先生や音楽の専門外の先生には、
特に4月はこの「常時活動」を作るところから授業をスタートさせることをおすすめします。

鑑賞の常時活動に:「動物の曲」鑑賞13曲スライド、ワークシート付き
リズム学習の常時活動に:「リズムフラッシュカード50問」
記事の最後には「4月初めて受け持つクラスでの授業のモデルプラン」を載せました。
是非最後までご覧ください!
Contents
常時活動のメリットを知ってうまく使いこなそう!
常時活動とは
毎回行う定番のネタであるということは先ほど述べました。
常時活動のメリットは先程確認した通り以下です。
- 短い活動で飽きない・長い期間かけて習得できる
- 授業にリズムや緩急を作ることができる
- 子どもも先生も毎回のお決まりで安心できる
- 授業の時間調整に使える

①短い活動で飽きない・長い期間かけて習得できる
常時活動はメインの活動とは違い、
授業の最初や途中、終わりなどに短い時間で設定することになります。
常時活動のお決まりといえば発声練習があげられます。
発声練習は常時活動で行うのが適しています。
なぜなら発声練習は
- 地味で飽きやすい・疲れやすい
- 一度や二度の授業では習得できない
ので、
- 短時間で
- 長い期間にわたって継続的に
行うことが好ましいのです。
- 発声練習
- リコーダーや鍵盤ハーモニカの音階練習
- 楽譜についての学習

②授業にリズムや緩急を作ることができる

たとえば、
メインの授業が鑑賞の場合は、座ってじっとしている時間が長くなるので、
授業の最初に発声練習や歌の常時活動を立って行う
メインの授業が難しい歌や合奏などの場合は活動量が多いので、
常時活動では、鑑賞の活動(活動量少ない)を行う
など、
- 歌う⇄聴く
- 立って活動⇄座って活動
- 一人で考える⇄グループで話し合う
のように、常時活動をメインの内容と対比させて組み込むことで、
このようにメリハリのきいた授業の流れを意図的に作り出すことができます。
③子供も先生も毎回のお決まりが安心
「ルーティン」という言葉があるように、
私たちはお決まりのパターンがあると安心します。

特別な支援が必要な生徒(支援級の生徒)が授業を受けている場合は特にこの「常時活動で作られたお決まりのパターン」が功を奏したりします。
支援級の生徒には毎回のパターンが決まっていた方が安定して授業が受けられる生徒が特に多いですし、
理解や成長がゆっくりな彼ら彼女らも、毎回の常時活動で地道に続けていけばできるようになることもたくさんあります。
授業を進める先生にとってもルーティンは安心です。
毎回の授業が全て新しい内容、ぶっつけ本番、一本勝負だと、
授業は成功するか失敗するかの博打のようになってしまい、安心して授業が進められません。

授業のメインで新しい内容に取り組む場合は、定着した常時活動と組み合わせておいて、
- 常時活動は放っておいても流れができてるからできる
- その分新しく始めるメインの活動に熱量を注げる
こんな状態にして始めるのが授業計画としてはやりやすいです。
④授業の時間調整に使える
常時活動の時間設定を変えることで授業全体の時間調整ができる
のも大きなメリットです。

とわかっている場合は
常時活動で歌っている曲を2回歌ったりして延ばせばいいですし、

と予想するなら、
常時活動を短くサラッと終わらせたりカットするなりして
時間を調整することができます。


おすすめの常時活動
常時活動として
- 発声練習
- テーマに沿った曲の鑑賞
- 音楽の理論の学習
- 月や学期で決めた歌や曲の演奏
など、さまざま取り組まれていますが、
ここでは私がおすすめの常時活動を紹介します。
①4月は「とりあえずこれ歌おう!」
4月にはまず授業を走り出させることが大事。
何はともあれ簡単な常時活動を設定してしまいましょう。
深く考えずにさらっと決めてしまうのが良いです。ダメならすぐに変更してしまうくらいのつもりで。
4月は生徒も緊張していると思うので、
生徒が好きそうで簡単に歌えてノレる曲をチョイスして歌ってみる
のがおすすめの常時活動です。

年度始めの4月は爽やかで声が出しやすい(歌いやすい)曲をチョイスしましょう。

*曲の選定について私の基本的な考え方は、「自分の美意識に従う」です。
曲の選択を生徒の好みや今の流行りに無理に合わせる必要はそんなにないと私は考えています。
流行りの曲じゃなくても以外と生徒はノッてくれるものですし、
いつも聴かないような曲を演奏する方が経験にもなります。
4月始め、まずなんの曲やろうかな、と悩む先生もいるのではと思いますが、自分の結論は、
「自分の美意識に従う」です。
以前「雨のメドレー」という曲を自分で編曲して小学生に歌わせたことがありましたが、
その中の1曲がこれ。https://t.co/xucEAxXa7k— コギト🎸みんなの音楽授業ネタ発信 (@COGITOmusic) April 3, 2021
↑よければスレッドを全部読んでみてください。
②リズム学習(教材ネタあります!)
2021年4月号の「教育音楽」で「ボディパーカッションを常時活動に取り入れよう!」と掲載がありました。


コロナ禍で「リズム学習」に取り組もうと思っている先生も多いかもしれません。
リズムや楽譜などの
音楽の理論的な側面は理解するのに時間がかかったりややこしかったりするので、
常時活動として設定し、「短い時間で、長い期間継続的に」学んでいくようにするのも一案。
特にリズムの学習を理論として理解するには分数のような要素が入ってくるため、
どうしても学習が難しくなります。

私が小学校でリズムを教える際気をつけている点は、
リズムは理屈で教えるのではなく、九九を覚えるように体に染み込ませて覚えていく、ということです。

仕組みから教えなくても「詰め込み」で教えちゃってよいわけです。
リズムを体に染み込ませるために、フラッシュカードがよく使われますね。
以下に「リズムフラッシュカード50問」という教材もアップしているので、
教材作りに時間がない方は是非この教材で常時活動を一つゲットしてくださいね。
- レベル1〜5まであり、小学校低学年から高学年まで学べる
- キーノートやパワーポイントで先生や生徒も問題を自作できる
- スライドには答えの音源がついていて自習もできる
- 自習用のプリントもついている
- ボディパーカッション課題もおまけでついている
私が時間をかけて作った渾身の教材、是非使ってください!
リズム学習の常時活動に:「リズムフラッシュカード50問」
↓この教材についての紹介記事も是非読んでみてください。
③「テーマに沿った曲の鑑賞」(教材ネタあります!)
音楽の授業の常時活動として「鑑賞」もよく行われます。
10分程度の時間で毎回1曲何かしらの曲を鑑賞していきますが、
「ただ聴かせておわり」になりがちなので注意が必要です。

「生徒○○さんのおすすめの曲」とか、「季節に合う曲」「教科書に載っている曲」を選んでただ鑑賞するだけというのでなく、
例えば、
- 桜の曲を4月で何曲か聴いて、それぞれ桜のどんなところを表現しようとしているか比較する
- 名曲をカバーしたいろいろな曲を聴いてみて、学期編成や編曲の特徴を比較
- さまざまな土地の音楽を聴いて、音楽や使われいてる楽器とその土地の文化を考えてみる
「音楽をある視点から捉えてみる」という切り口があると音楽の授業としてしっかり成立しますし、生徒への評価もやりやすくなります。
私の十八番の常時活動の鑑賞活動として
「動物の曲の鑑賞」という題材があります。
動物は小学生でもイメージがしやすいです。
例えば「ライオンの行進(サン=サーンス)」を聴いて、
「ライオンの怖さや大きさ」→「音の大きさや低さで表現されている」
など、
「この音楽のどこが動物を表現しているのか」を考えていきます。
↓こんな参考動画も自分で作ったりしています。
他にも13曲の動物の曲を集めて解説しているので、

とクイズ形式で聴かせてみるととても盛り上がりますよ!
13の動物の曲の解説やプレイリスト、ワークシートや授業用のスライドがセットになった教材をアップしています▼▼
鑑賞の常時活動に:「動物の曲」鑑賞13曲スライド、ワークシート付き
- サラッと1回の授業につき5分から10分くらいでクイズ形式で
- 少し踏み込んだ解説で授業の前半20〜25分くらいの活動で
- 50分フルに使って3〜4曲を一度に
など、常時活動としてもメイン授業としても使えます。
↓紹介記事も是非ご覧ください
まとめ 常時活動をうまく活用して余裕ある授業展開を!


4月は校務の分担が決まり、新しい学級もスタートしてほんとうに「てんてこ舞い」。

そんなあなたに、参考になるかわかりませんが、

とりあえず、私が小学○年生で新しい学級を持つとしたら、と仮定して、こんな4月の授業プランを考えてみました。
参考になるところだけ取り入れてみてくださいね。
*常時活動としては「『風になる』(映画『猫の恩返し』主題歌)を歌う」という設定で考えています。
活動 | 常時活動 | メインの活動 | |
1回目の授業 (授業開き) |
音楽の授業のルールや持ち物の説明(10分)
自己紹介プリント(私の音楽の歴史)の記入(20分) 常時活動の曲紹介(10分) |
「風になる」の曲を聴いてみる
「風になる」の歌詞や楽譜を配る |
なし |
2回目の授業 (常時活動をメインにする) |
自己紹介プリントの発表(20分)
常時活動の定着に向けた活動(30分) |
「風になる」の歌詞を読んで理解する
CDや伴奏に合わせて歌ってみる」(1番を歌えるように練習) |
なし(このメインの活動がない期間にメインの活動内容を決めておく) |
3回目の授業 (常時活動の時間を減らしていく) |
常時活動を定着(20分)
メインの活動(30分) |
「風になる」の最後まで歌えるようにする | あり
(準備しておいた活動を開始) |
4回目の授業〜 (常時活動が軌道に乗る) |
定着した常時活動を流す(10分)
メインの活動(40分) |
「風になる」を一度歌う。表現の細かい部分を少しずつ指導 | あり
(どんどん展開させていく) |
1回目〜3回目まで:常時活動を定着させながらその間にメイン活動のアイデアを練る
3回目〜:メインの活動を少しずつ出して広げていく
このように計画すると、授業の準備を少しずつ時期をずらしてやっていけるので無理がないですね。

↓ちなみに「風になる」は爽やかで4月に歌うのにピッタリの曲。
1回目の音楽で行う「自己紹介プリント(私の音楽の歴史)」もnoteにアップしていますので是非ダウンロードしてください!

今回は以上です!
