この記事では滝廉太郎の「花」の曲について解説しています。
- 歌詞の情景を画像で紹介
- 歌詞の意味(現代語訳)を掲載
- 楽曲の特徴や形式について
どこよりも多角的に解説していますのでこの名曲について深く知りたい方や、中学校の音楽で指導する先生などは是非お読み下さい。
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コギト|音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員
- 教員辞めても教材研究が好きで続けている
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意
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- ICTを駆使・時短マニア
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滝廉太郎「花」の歌詞の意味・現代語訳
歌詞は以下で、七五調で作られた詩です。
一.春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしづくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
二.見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳を
三.錦おりなす 長堤に
くるればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとふべき
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以下、歌詞の情景画像と現代語訳をどうぞ。
1番の歌詞の意味
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春のうららの 隅田川
(穏やかな陽気の春の隅田川、)
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵2.jpg)
のぼりくだりの 船人が
(川を上り下りする船で行きかう船頭さんの)
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵3.jpg)
櫂のしづくも 花と散る
(船のオールからしたたるしずくもはなびらのように散っている)
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵4.jpg)
ながめを何に たとふべき
(この眺めを何にたとえることができるだろう(いや例えられないほど美しい))
2番の歌詞の意味
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵5.jpg)
見ずやあけぼの 露浴びて われにもの言ふ 桜木を
(ごらんなさい、朝露を浴びて輝いて 私に語りかけるような桜の木を)
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵6.jpg)
見ずや夕ぐれ 手をのべて われさしまねく 青柳を
(ごらんなさい、夕暮れに手を伸ばして 私を招いているような 青柳の木を)
3番の歌詞の意味
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵7.jpg)
錦おりなす 長堤に
(錦あでやかな織り物を織ったように 花々が咲く長い堤防に)
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵8.jpg)
くるればのぼる おぼろ月
(日が暮れると上るかすんで見える月)
![](https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2024/04/花挿絵4-1.jpg)
げに一刻も 千金の ながめを何に たとふべき
(ほんとうにこのひと時も素晴らしく価値のあるながめだ
この眺めを何にたとえることができるだろう(いや例えられないほど美しい))
↓最後に現代語訳をまとめて掲載しておきます。
一.
穏やかな陽気の春の隅田川
川を上り下りする船で行きかう船頭さんの
船のオールからしたたるしずくもはなびらのように散っている
この眺めを何にたとえることができるだろう(いや例えられないほど美しい)
二.
ごらんなさい、朝露を浴びて輝いて
私に語りかけるような桜の木を
ごらんなさい、夕暮れに手を伸ばして
私を招いているような 青柳の木を
三.
錦あでやかな織り物を織ったように
花々が咲く長い堤防に
日が暮れると上るかすんで見える月
ほんとうにこのひと時も素晴らしく価値のあるながめだ
この眺めを何にたとえることができるだろう(いや例えられないほど美しい)
「花」の楽曲の特徴4つを解説
ここからは「花」の楽曲の特徴を解説していきます。
「花」作曲当時の風景
「花」が発表されたのは1900年。当時東京音楽学校で教鞭をとっていた同僚であった詩人の武島羽衣の詩「花(最初は「花盛り」という題名だった)」という詩に滝廉太郎が曲をつけました。
2部合唱の曲ですが、日本で作曲された最初の合唱曲と言われています。
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当時の隅田川の春を歌ったと思うけど、当時の風景ってどんなものだったのかしら?
↓1900頃の日本の風景の映像資料です。
↓少しだけ時代が下りますが、1930年頃の隅田川の映像です。
「花」は歌曲集「四季」の中の1曲目
滝廉太郎の「花」は単独の曲ではなく、「四季」という歌曲集(組歌)の中の1曲目。
1:「花」(最初は「花盛り」という題名だった):武島羽衣作詞
2:「納涼」:東くめ作詞
3:「月(秋の月)」:滝廉太郎作詞、山田耕筰編曲
4:「雪」:中村秋香作詞
↓全曲は以下の動画で聴けます。
滝廉太郎「花」楽曲の形式や内容
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変形有節形式で、2部形式の曲です。
シューベルトの「野ばら」や同じく滝廉太郎の「荒城の月」などの曲は、1・2・3番と同じ旋律を繰り返して歌う「有節歌曲」です。一方、繰り返さない(例えばシューベルトの「魔王」)歌曲は「通作歌曲」といいます。
さて、滝廉太郎の「花」はどうでしょう?
1・2・3番があり、一緒なメロディを繰り返してはいますが、2番の旋律が少し違っていたり、細かいところでリズムが違ったりしています。
このような形式は厳密にいうと「変形有節形式」と言うようです。
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ちょっと変則的な有節歌曲ってことか…。
また、メロディの形式は2部形式です。
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前半と後半でA・Bと分けられるので2部形式。その中で「a – a′- b – a′」という構成になっています。
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a′はaと似ているけどちょっと違う旋律。
同じような構成の曲には「ちょうちょう」などがありますね。
滝廉太郎「花」は2拍子である
この曲は2/4拍子でできています。
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2拍子って二回繰り返せば4拍子にならない?何が違うの?
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同じ曲を2拍子で歌うのと4拍子で歌う場合、簡単に言うとノリが違いますね。
↓以下の動画で解説しています。
まとめ 滝廉太郎「花」の授業用教材あります
春に歌いたい名曲の滝廉太郎の「花」。今回の記事が参考になれば幸いです。
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西洋の手法で書かれているけど日本の愛唱歌ですよね。
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