この記事ではオペラ「アイーダ」の見どころ・聴きどころについて動画付きで解説しています!
[voice icon=”https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2020/08/0E33B023-B314-4C42-85E5-430035BAC40B-e1597742294818.png” name=”コギト先生” type=”l”] 音楽の教科書で取り扱っている部分と、私が授業で聴かせている部分を紹介します![/voice]
- ラダメスのアリア「清きアイーダ」
- 凱旋の場(第二幕第二場)
- アイーダのアリア「おお、我が故郷」
- アムネリスの説得〜ラダメスの死刑(第四幕第一場)
- アイーダとラダメスの二重唱「さらばこの世よ、涙の谷よ」
この記事を読むことで、このオペラのどんなところに注目すると音楽理解が深まるかがわかります。
今からこのオペラを聴く人、授業で教える先生は是非ご覧ください!
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↓オペラ「アイーダ」の登場人物についてやあらすじに関しては以下の記事をごらんください。
オペラ「アイーダ」の登場人物と人物相関図をざっくり解説(中学校音楽)
ブログ運営者
コギト|音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員
- 教員辞めても教材研究が好きで続けている
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
- ICTを駆使・時短マニア
- noteで自作教材をアップ、3000ダウンロードを突破!
- 音楽や音楽教育に関することをX(Twitter)でも発信中
1:ラダメスのアリア「清きアイーダ」
主人公のラダメスがアイーダを想い、憧れを歌うアリアです。
歌われるのはオペラ第一幕、オペラ自体が始まってから5分くらいのところ。司祭のランフィスが「エチオピアとの戦いの指揮官は神の信託で決められる」と述べたあと、その候補であるラダメスが「もし自分が指揮官に選ばれたら、戦いに買ってアイーダにこの勝利を捧げたい」と歌います。
通常のオペラではこのようなハイライトのアリアは劇中の後半に持ってくるものですが、これを開始早々に持ってくることで、観客の心をいきなり掴むことに成功しています。
曲の旋律は順次進行の最後が跳躍する上行のかたち。
オペラ「アイーダ」スコアp.9/Ricordi
今ここにいないアイーダを思って想像が宙を舞うような、また想いが湧き上がってくるような「上昇」の印象を与える旋律ですね。
2:凱旋の場(第二幕第二場)
このオペラで一番有名な「凱旋の場」。
凱旋行進曲
ラダメスがエチオピアとの戦いに勝ち、エジプトに帰ってくる時の場面です。有名なのはこのメロディですね。
このメロディは「アイーダトランペット」という見栄えをよくしたトランペットで舞台上で演奏されます。
凱旋行進曲のメロディは勇ましく、単純明快で覚えやすく印象的な旋律です。三連符や付点のリズムがあることで躍動感がありますね。
凱旋行進曲のファンファーレはサッカーの応援歌としても有名ですが、日本でこのメロディを広めたのは中田英寿さんだそう。中田さんが所属していたチームのパルマはヴェルディの出身地でこの凱旋行進曲が古くから応援歌として歌われていたんだとか。それを中田さんがホームページで紹介したことが発端で日本でもこの曲がサッカーの応援歌として根付いたようです。
第二幕のフィナーレ
凱旋の場の最後(第二幕のフィナーレ)は全員の合唱で締め括られますが、この部分は同じ旋律を全員で合唱しているにもかかわらず、全員のセリフが違います。
それぞれの登場人物が置かれた状況の中で自分の気持ちを別々に歌っています。でもそれが同じ合唱というところが面白く、それぞれの心情を考えながらこの合唱を聴くとなんとも万感こもった音楽に聴こえてきて深みが増します。
このセリフ全てを聞き取るのは多分イタリア人でも無理でしょうが、混沌としたセリフと音楽の高まりで一種の狂喜乱舞の状態を作っていると言えます。
3:アイーダのアリア「おお、我が故郷」
第三幕の始めにエジプトの奴隷であるアイーダが「もう絶対に故郷の土を踏むことはない」と悲しむ心情を歌います。
歌中によくでてくる「mai,più(マイ・ピウ)」は「二度と、決して」の意味。この歌詞を何度も歌うことで強調している曲です。
この曲は高い声で歌われますが、楽譜ではほぼ常に ppで歌うように指示されています。悲しい感情を爆発させ るというよりも、やりきれない悲しみを切々と pp で表現する曲です。
4:アムネリスの説得〜ラダメスの死刑(第四幕第一場)
第四幕第一場は脇役であるアムネリスの見せ場です。この部分はアムネリスの感情が色々に変化していき、それに合わせて音楽表現も様々に変わるとても面白い部分です。
ラダメスがエジプトの軍事上の秘密をアイーダに漏らしてしまったことで捕まり、ラダメスを思うアムネリスが「私と一緒になりアイーダを忘れるなら、罪を免れるように取り計らう」と提示するところからはじまり、
- ラダメスの罪を軽くしてやろうと命令口調でラダメスに話す
- 応じようとしないラダメスに「愛している」と説得
- 拒否するラダメスに怒りをあらわにする
- ラダメスに怒ってしまい、自己嫌悪に陥る
- 裁判が始まってしまい、「彼をお救いください」と懇願する
- 判決が下り、司祭を恨む
こんな状況・感情の変化により、音楽がドラマティックに展開しているところが聴きどころです。
この変化にどんな音楽が寄り添っているのか注意して聴いてみてください。自分的にはここが一番面白い部分です。
5:アイーダとラダメスの二重唱「さらばこの世よ、涙の谷よ」
このオペラの最後の場面であるこの二重唱はとても静かで天国的な音楽です。
死刑で生き埋めが確定になったラダメスは地下牢に送られますが、そこにあらかじめ忍び込んでいたアイーダはラダメスと再会します。
死ぬしかない場所で決して喜ばしいとは言えない再会を果たした二人ですが、死と愛の甘美な状況で「永遠に二人は結ばれる」と愛の二重唱を歌いながら死んでいきます。
地下牢の上では二人の再会をしらないアムネリスがラダメスの冥福を祈っています。
「アイーダ」は総合芸術としての見どころがたくさん!
第一幕ののっけから美しいアリアが飛び込んできて、第二幕では豪華絢爛な凱旋の舞台や演出・バレエに圧倒される。脇役アムネリスの第四幕の表現はそれだけでもオペラ1つ作れるほどにドラマティックだし、なんといっても最後の場面の天上の美しさ。
オペラアイーダは間違いなくヴェルディの傑作ですね。
中学校の授業でこのオペラの魅力全てを理解させることは時間的にも、生徒の年齢的にも難しいと感じますが、今日解説した見どころ・聴かせどころを参考に的を絞って鑑賞させてみてください。
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今回は以上です!
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