高校の音楽の授業は自由度が高く、先生はどの題材をどのように取り扱うか悩むことが多いのではないでしょうか。
教科書にも掲載されている範囲が広範囲で、さらに各学校での選択・裁量ができるように構成されているため、全てを教えることが難しく、教科書通りに進めるという体裁にはなっていません。

- 内容に自由度があるため、かえって何をどう教えればよいのかわからない
- 高度なレベルで音楽を解説することが難しい
- 生徒に興味を持ってもらえるような解説ができない
- 自分で教材を作るのが大変



- 音付き、図解付きでわかりやすいスライドデータ
- ワークシート付き
で「楽典」「鑑賞授業」「創作授業課題」などがダウンロードできます。
教材準備の時間が大幅に短縮できますし、「どう教えようか」「なんの曲にしようか」などと悩む必要もなく、明日からすぐに授業ができる内容になっています。
無料教材もある!
では分野ごとに紹介していきます!
ブログ運営者


コギト|音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員
- 教員辞めても教材研究が好きで続けている
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでYouTubeも運営
- ICTを駆使・時短マニア
- noteで自作教材の販売をし、1000ダウンロードを突破!
- 音楽や音楽教育に関することをX(Twitter)でも発信中


【歌唱授業のコツ】コンセプトを持って取り上げる


高校生の教科書に載っている歌唱曲にはこんな特徴があります。
- 技術的に難しい曲を取り上げているわけではない
- 往年の名曲や愛唱歌が多い
- 原語(英語・イタリア語・ドイツ語)で歌わせるものが出てくる
つまり、高い声が出せるようになるとか、難しい節回しが歌えるようになるなどの技術向上的な側面は重要視されていないというのがポイント。



学習指導要領でも「音楽を評価しながら美しさを自ら味わって聴く」「生涯にわたり音楽を愛好する心情」が大目標として設定されていることからそのような方向性が理解できますね。
小学校では特にピンポイントに「短調の良さを味わう」とか「付点のリズムで弾むように歌う」というねらいを持って歌唱曲が取り上げられることもありますが、高校の歌唱ではそれらはもう一旦習得できたものとして、「曲の持っている魅力をどう表現したり味わって歌えるか」ということに主眼が置かれている、ともいえるでしょう。
実際に高校の音楽の教科書で採用されている歌唱曲をどのように取り上げれば良いのか例をあげてみます。
原語で歌う「O sole mio」「Ich liebe dich」など
ドイツ歌曲やイタリア歌曲、オペラアリア、シャンソンなどは原語で歌うことが求められています。
このような曲の場合は、まずはドイツ語やイタリア語の発音ができるように練習してみましょう。ほとんどの生徒がほぼ英語にしか馴染みがない中で他の言語に触れてみること自体が結構面白い体験なので、「何この発音〜!?」みたいなノリで楽しく歌詞を読む練習を進めます。



ある程度発音ができるようになったら、節をつけて歌います。
日本語歌詞がついていたらそっちでも歌ってみると、原語とフレーズがよくマッチしていることがわかると思うので歌い分けてみるのがオススメです。
音楽指導一本、というよりは教養を身につけるくらいの感覚で取り組むと良いです。
【中学・高校音楽】イタリア語で歌おう!発音学習プリント&曲付きの授業教材
愛唱歌「この道」「夏の思い出」など
日本の愛唱歌などは聴いたこと・歌ったことがある生徒も多いと思います。
ではなぜ高校の音楽で取り上げるのでしょうか?
人格的に成長してきている高校生に敢えて再度愛唱歌を歌わせると、しみじみと良さを味わったり、昔には感じ取れなかった表現の可能性について考えさせることができます。



小中学校では見逃していた「曲の新たな魅力」に気づくことで音楽への理解を深めていくことができるようになることをねらいとしましょう。
テンポ・強弱・フレージングなどを自分たちで考えさせて表現させてみましょう。斉唱でみんな一緒に、というよりは独唱で歌わせてみるのが良いです。歌のテストも愛唱歌で設定するとこのような表現の工夫を評価することができるのでオススメです。
とは言っても愛唱歌は一見地味なので生徒はノリづらいかもしれません。そんな時は授業のメインを他の曲(次に紹介する流行歌など)にして、愛唱歌を常時活動で授業に1度必ず歌うなどにしておくのもオススメ。何度も毎回歌ううちに自然と音楽が生徒の体の中に染み込んでいくように味わわせることができます。
流行の歌「負けないで」「若者のすべて」など
生徒たちが普段好んで聴いている流行りの歌を取り上げると、まず生徒の反応が良いのがメリット。



ポピュラーといえばリズムが大事な要素になります。原曲を聴き、ドラムに注目させ、どのようなリズムになっていてどんな曲調になっているのか聴きとらせてみましょう。



シンプルな節回しの愛唱歌などと比べてフレーズにどんな特徴があるか(大体の場合付点のリズムやシンコペーション、跳躍が多く、感情に直接訴える刺激的な節回しが多いです)を歌いながら問いかけ、分析させてワークシートに書かせてみるのも面白いです。
【鑑賞授業のコツ】作曲家・カテゴリー・ジャンルなどを幅広くとらえて


高校の音楽の授業で行う鑑賞の授業は以下のように音楽を幅広く捉えて鑑賞するような題材が多く扱われているのが特徴です。
- 一人の作曲家の人物と曲の特徴を捉える
- 民族音楽・現代音楽などジャンルを通して曲の特徴を探る
- オペラ・バレエなど総合芸術の鑑賞
一人の作曲家の人物と曲の特徴を捉える
教科書「MOUSA」には、クローズアップ・マエストロと題して、小中学校ではなかった一人の作曲家の生涯や作品に迫っていくような題材設定があります。
作曲家の生きた社会と音楽との関わりや、時代の背景なども含めて音楽を考えていくことが求められています。



民族音楽・現代音楽などジャンルを通して曲の特徴を探る
音楽の一つのジャンルを通覧してどんな特徴があるジャンルなのかを学ぶ鑑賞の授業では、民族音楽や現代音楽、ポップスやロックなどが取り上げられています。
少し趣向を変えて今まで聞き馴染みのなかった「現代音楽」を題材に鑑賞授業を組み立ててみることもおすすめです。



↓「聴きやすい・おもしろい現代音楽」を紹介した記事です。
オペラ・バレエなど総合芸術の鑑賞
総合芸術の鑑賞授業といえばオペラ。オペラを何時間かかけてじっくり味わってみるのも面白いですよ。
自分がオペラの鑑賞授業をするならトゥーランドットが第一候補にあがります。「誰も寝てはならぬ」などのエモい旋律や、高校生が好きそうな激烈なオーケストレーションに溢れていて、飽きません。
↓舞台芸術についてバレエ・ミュージカルなどと比較しながらオペラの特徴を学習し、「トゥーランドットの鑑賞」までができる教材です。
また「惑星」のような組曲を全曲鑑賞してみるような取り組みもおもしろいですね。



↓7曲あるの曲の中から4曲を自分で選び、「小組曲惑星」を構成してみるという課題も用意している組曲「惑星」の鑑賞授業ネタをダウンロードできます。
【創作】はICT機器と組み合わせて面白くできる


創作の授業はうまくやるのがとても難しい授業として音楽の先生の頭を悩ませてきました。
- 和音や音階などの予備知識が必要
- 楽譜を書いて記録させなければいけない
- 創作したものを演奏する技術も必要
創作をさせるには、演奏もソルフェージュも、いろいろな知識や技術が必要になるから大変だったのです。



今はGarageBandなどのICT機器のアプリにより、初心者にも簡単にできるほど創作授業のハードルが大きく下がりました。
- 和音や音階はアプリで簡単に設定できる
- 創作したものを保存でき、楽譜を書く必要がない
- 創作したものを自動演奏してくれる
このように、音楽製作アプリで創作すれば、創作だけにフォーカスして教えることができるようになるので、今の時代ICT機器は創作授業にマストなツールと言えます。
とはいえ、いきなり何十小節もの長い曲を生徒に作らせるのはさすがに無理です。



↓「サウンドロゴ」のような数音〜数小節の組み合わせで気軽に作ることができる創作授業の教材です。
「音が聴き手にどのような効果を与えるのか」や、「どのような音を使えば印象が良いものになるのか」など、音楽と社会(マーケット)との関わりを学習するのにもピッタリです。
【器楽授業のネタ】ギターもいいけど、ウクレレが簡単!


中高生の器楽といえば、和楽器以外で言うと「リコーダー」か「ギター」が主流です。



ギターやウクレレは伴奏楽器として重宝する楽器です。今まで旋律楽器として「リコーダー」「鍵盤ハーモニカ」に取り組んできたことの多い生徒ですが、ギターやウクレレでの伴奏に取り組ませることで、今まで主旋律ばかりにいっていた耳が伴奏の和音やリズムにもいくようになり、「耳の成長」が望めます。
ギターやウクレレでは比較的簡単にコード(和音)を鳴らすことができる楽器ですが、ギターはフレットを抑えるのが難しく、とくに「Fの壁」と呼ばれる、ファラドの和音を鳴らすのに早々に挫折してしまうことも多いのが難点。
一方でウクレレではこのような難しさがありません。
- 弦が4つしかないから簡単
- ボディが小さいので手が小さくでも演奏しやすい
- フレットが硬くなく押さえやすい
簡易版のギターという感じで生徒にとっつきやすく学ばせることできる楽器です。



ギターで難しかったFの和音もウクレレなら次のように2つのフレットを抑えればいいだけなので簡単です。


CやAmなども抑える弦が1つだけなので、ハ長調まわりのコードはギターに比べて本当に簡単に演奏することができるのがウクレレのメリット。


手でストロークするので、フォークギターのようにピックを無くしたりする心配もないのが地味に嬉しいです。
ウクレレを音楽の授業で扱うのは問題ないの?
ウクレレじゃなくてちゃんとギターやらなきゃいけないのでは?と思っている先生もいるかもしれませんが高校の音楽の教科書「MOUSA」には器楽のページとしてウクレレの奏法が掲載されています。
またウクレレはギターに比べて安価なのも嬉しいところ。



今学校にあるギターを買い直すくらいなら、ウクレレを揃えてしまうのも一案。
または、ギターに憧れがある・うまくできる生徒にはギターを、ギターが難しいという生徒にはウクレレと、半分ずつくらい用意して選択制にするというのも手です。
音楽の先生なら簡単にウクレレを弾けるようになると思うので、まずはちょっと触ってみてはいかがでしょうか。
初心者用の簡単なものならこちらで4000円程度で買えます。
ギターやウクレレのコード表示をワークシートや楽譜に簡単に挿入できるツールです↓
【自作もできる!】ギター・ウクレレ・ピアノ音楽授業用和音・コード表示テンプレ
【楽典授業のネタ】和音やコードを覚えよう


楽典は高校の教科書でかなり細かいところまで触れられています。



楽想記号や音階などは小学校・中学校ですでに学んでいますが、和音、特にコードネームについては高校の音楽で初めて出てきます。



ただ、教科書にはコード表や簡単な解説が載っているだけで、
- 音階や音程について
- コードネーム表記の仕組み
など、コードを理解する上で欠かせない知識が解説されていないことがほとんどです。



「メジャー」「マイナー」「ディミニッシュ」「セブンス」などのコードネームの表記の名付け方は音程の名称からきているので、音程の理解をおざなりにすると、コードの学習が非効率になります。
コードネームは(特に音楽活動をしている)生徒が「教えて欲しい」というくらい興味が高い分野なので学習効果も高く、習得しておけば今後の人生で音楽を愛好していく礎になりうると思います。



↓以下から「回り道なく最短でコードの仕組みが理解できる」学習用教材を用意しています。
↓コードの仕組みをブログ記事にもまとめていますのでそちらも是非ご覧ください。
【コード(和音)とは?】中学生にもわかりやすいコードネームの覚え方3ステップ
高校の音楽授業は自由度が高いだけに楽しくもある!


高校の音楽授業は小学校や中学校と違って自由度高く進めることができるのがメリットでもあり、また難しいところでもあります。



自由度の高い音楽の授業で何を取り上げれば良いのか迷うところもありますが、アイディア次第で他にはない授業を組み立てることができるのは高校音楽の面白いところだと思います。



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