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昔は狩りの道具だったホルン【音楽授業で使える小話・アイスブレイク】

昔は狩りの道具だったホルン(狩猟用の丸いホルン)
コギト

オーケストラや吹奏楽で使う楽器の中に、昔は狩りで使われていた楽器があります。どの楽器だと思いますか?

男子

大太鼓! ドーンって鳴らして、動物をびっくりさせる!

中学生

トランペットじゃない? 「パッパカパーン」って、合図っぽいし。

生徒

弓みたいに弦が張ってあるから……ハープ?(笑)

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目次

森の中で合図を送る道具だった

狩りで使われていたのは、ホルンです。

「ホルン」はドイツ語で「角(つの)」という意味。

大昔は、動物の角に穴をあけて吹いていました。

男子

角笛ってやつだ!

ヨーロッパの貴族は、馬に乗り、犬を連れて森の中で獲物を追いかける狩りをしていました。

広い森の中で「獲物を見つけた」「ここに集まれ」といった合図を仲間に伝えるのが、ホルンの役目です。

1561年にフランスで出版された狩りの本には、ホルンで吹く合図が14種類ものっています。

やがて17世紀の終わりごろのフランスで、金属の管をぐるっと丸く巻いた狩り用のホルンが広まりました。

英語でホルンを「フレンチ・ホルン」と呼ぶことがあるのは、このフランスの狩りのホルンにちなんだものです。

狩りのホルンを吹く文化は今もフランスなどに残っていて、2020年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

フランスの森を管理する国の機関(ONF)の、狩りのホルン隊。曲はロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲です。
中学生

ホルンって、もともとは楽器じゃなくて道具だったんだ。

ベルが後ろを向いているのはなぜ?

ホルンは、音の出口(ベル)が後ろを向いている、ちょっと変わった金管楽器です。

狩りのホルンは、丸い管の輪に体を通して肩にかけ、馬に乗りながら吹いていました。

ベルが後ろ向きなのは、そうやって肩にかけて持ち運ぶためだった、と言われています。

生徒

それじゃ、前にいる人には聞こえにくくない?

コギト

オーケストラでは、音が後ろの壁にはね返って、角のとれたやわらかい音で客席に届きます。その音色が、今ではホルンの持ち味なんです。

詳しいヤツ

ホルンの人が右手をベルの中に入れて吹いているのも、昔のなごりだよ。ボタン(バルブ)がなかった時代は、手の入れ方で音の高さを変えていたんだ。

バルブつきのホルンの特許がとられたのは、1818年のことです。

ちなみに、今のホルンの管をまっすぐ伸ばすと、およそ3.7mにもなります。

男子

教室の天井より長いじゃん!

オーケストラに入っても「狩り」の音楽

18世紀になると、ホルンはオーケストラの仲間入りをします。

それでも、ホルンが鳴ると「狩り」の場面が思い浮かぶのは、昔も今も同じです。

モーツァルトのお父さん、レオポルト・モーツァルトの「狩りのシンフォニー」には、ホルンが4本も登場します。

楽譜には鉄砲を撃つところまであり、犬の鳴き声や狩人のかけ声を入れて演奏されることもあります。

男子

もう音楽っていうより、狩りそのものじゃん!

息子のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、友だちのホルン奏者ロイトゲープのために、ホルン協奏曲を書きました。

第4番の最後の楽章は、狩りのホルンを思わせる、はずむようなリズムの曲です。

ホルン協奏曲第4番の第3楽章。ソロはホルンの名手ラドヴァン・ヴラトコヴィチ。
詳しいヤツ

モーツァルトは第2番の楽譜に、ロイトゲープのことを「ロバ、牛、ばか」とからかう言葉まで書きこんでいるんだよ。

中学生

仲よしだったんだね(笑)

木管五重奏なのに金管楽器が1人

吹奏楽部の人なら、「木管五重奏」を知っているかもしれません。

メンバーは、フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット、そして金管楽器のホルン。

「木管」なのに、金管楽器が1人だけ入っているんです。

管楽器のアンサンブルがさかんだった古典派の時代、トランペットは王さまや軍隊の楽器、トロンボーンは教会の楽器というイメージがありました。

そこで、木管楽器といっしょに演奏されることが多かったのがホルンです。

やわらかい音色が木管楽器によくなじむ、というのも理由のひとつと考えられています。

シカゴ交響楽団のメンバーによる、ライヒャの木管五重奏曲。ホルンの音を探しながら聴いてみてください。
生徒

金管なのに木管チームなんて、ちょっとかわいそう……

コギト

実は英語では「wind quintet(管楽器の五重奏)」と言って、「木」はついていないんですよ。

狩りの合図から始まって、オーケストラにも、木管のチームにも入っていったホルン。

次にホルンの音を聴いたら、森の中に鳴りひびく合図を思い浮かべてみてください。

もしみんなが、遠くの友だちに合図を送る「音」を決めるとしたら、どんな音にしますか?

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この記事を書いた人

音楽教師歴18年の元教員。鑑賞・創作・器楽合奏授業が得意で、授業教材をnoteにアップしています。伴奏アレンジや合唱、合奏編曲もやってます。国立大学の附属学校で研究主任&教育実習など経験あり。大好きな教材づくりで全国の音楽の先生の役に立ちたい。 自分の仕事を全部音楽関係にしたいから教員をやめて独立。ピアノ歴20年以上。アマチュアコンクールで全国入賞経験あり。

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