中学校の音楽の授業で鑑賞する雅楽「管絃・越天楽(えてんらく)」。
新米先生何をポイントに教えたらいいのかわからない…
実は越天楽が「盛り上がらない」のには、ちゃんとした理由があります。そしてその理由を先に伝えておくだけで、生徒の聴き方はガラッと変わります。
今回の記事では
- 中学生にもわかるようなおもしろい知識を
- 音楽の先生が中学生にわかりやすく教えられるように
越天楽のおもしろい側面を解説していきます。授業でそのまま使えるアクティビティも紹介していますので、最後までご覧ください。
コギト中学校「管絃・越天楽」の授業用教材がダウンロードできます!


コギト | 音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員。辞めても教材研究が好きで続ける
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意、ICT・時短マニア
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
- ICTを駆使・時短マニアnoteで自作教材をアップ、5000ダウンロードを突破!
- 音楽教員のためのオンラインサークル「ムジクラブ」運営中
越天楽とは雅楽を代表する曲
越天楽(えてんらく)は、雅楽の中でもっとも有名な曲です。
雅楽そのものは、大陸から伝わった音楽をもとに、平安時代ごろに日本で今の形に整えられました。日本でいちばん古い合奏音楽であり、1000年以上受け継がれてきたと言われています。
その古さから、越天楽は「世界最古のオーケストラ」と呼ばれることもあります。
コギトヨーロッパでオーケストラという編成ができあがるのはバロック時代(17〜18世紀)。それより数百年も前に、日本ではすでに合奏の形が完成していたことになりますね。
管絃・平調とは?
中学生越天楽は曲の名前ってわかるけど、「管絃」とか「平調」って?
雅楽には大きく3つの種類があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 管絃(かんげん) | 楽器だけの合奏。越天楽はこれ |
| 舞楽(ぶがく) | 舞が中心。装束をつけて舞う |
| 謡物(うたいもの) | 歌が入るもの(催馬楽・朗詠など) |
中学校で鑑賞する越天楽は、管絃にあたります。今風に言えば「歌なしのオーケストラ演奏」ですね。
「平調(ひょうぢょう)」とは曲で使う音階のこと。

上の楽譜で見ると、要するにドリア旋法と同じか、と思われるかも知れませんが、実際の雅楽は平均律ではありませんし、同じラ(黄鐘)の音も440Hzとかではなく430Hzくらいなのでチューニングも違います。
コギト雅楽が面白いのは調に「季節」があること!
平調は実は「秋の調」であり、「越天楽」が平調で演奏されるのは本来「秋」です。
中学生なんでそんなことするの?
雅楽は後述する「礼楽思想」という儒教の考え方によって「音楽を奏でて自然と一体化する」という思想があります。よって演奏する季節が変わるなら調べもそれに合わせる、という考えなのでしょう。
越天楽は冬になると冬の調の「盤渉調」で演奏したりします。
楽器の音域や、節回しの規則によって同じ越天楽でも結構違う感じの曲になります。
越天楽は「聴かせるための音楽」ではなかった
越天楽は、お客さんに聴かせて楽しませるために作られた音楽ではありません。
もともと雅楽は、宮中の儀式、神社の神事、お寺の法会といった場で演奏されてきました。つまり演奏の向かう先は「聴衆」ではなく、神仏や、その場の空気そのものだったわけです。
「良い音楽が世界を整える」という考え方
雅楽には、中国から伝わった「礼楽思想(れいがくしそう)」という儒教の考え方が結びついています。
正しい音楽を演奏すれば、世の中の秩序が保たれる
儒教の経典『礼記(らいき)』には「楽は天地の和なり」とあり、音楽は天地の調和そのものだと考えられていました。
この考え方と結びついた雅楽は、「聴かせる音楽」ではなく「世界を整える音楽」として演奏されてきたのです。
「盛り上がらない」のは当たり前の雅楽
私たちが普段聴いている音楽は、ほとんどが「聴き手を楽しませる」ためのものです。
- だんだん盛り上げてクライマックスを作る
- 感情に訴えかける
- はっきりした始まりと終わり
でも越天楽には、それがありません。そもそも、そこを目指して作られていないからです。
雅楽のもともとの目的を説明したあとに、
コギト海の波の音とか、森の木のざわめきを心地よく聞くようなつもりで聴いてみよう!
と鑑賞の工夫を示してみましょう。
「つまらない」ではなく「そういう音楽なのか」と受け止められるようになります。
越天楽が「まったり」に聴こえる理由
中学生雅楽ってなんかまったりしてて眠くなる…
生徒からよく出る感想です。ここも、理由を知っておくとスッキリ説明できます。
雅楽にはちゃんと拍はある?
まず前提として、雅楽に拍がないわけではありません。
越天楽には「早八拍子(はややひょうし)」という拍子の枠組みがあり、8拍のまとまりで構成されています。それを管理しているのが鞨鼓の奏者で、速度を決めたり、終わりの合図を出したりしています。
雅楽の奏者が膝を打ちながら唱歌(しょうが)を歌って練習するのも、この拍を体で数えるためです。
雅楽で拍がわかりにくい理由
雅楽で拍がわかりにくいのは以下の理由です。
① テンポが一定でない 西洋の拍はメトロノームのように等間隔が原則ですが、雅楽の拍は伸び縮みします。特に4拍目が伸びる傾向です。
② 拍が表に立たない ポップスやマーチは拍が前面に出て、体が動きたくなります。雅楽の拍は旋律の背後に隠れていて、奏者には見えていても聴き手には見えません。
③ 強弱の型がない 西洋の4拍子には「強・弱・中強・弱」という周期的なアクセントがあり、これが規則的に戻ってくるからノリが生まれます。雅楽には、この拍の強弱のループがない・もしくは希薄です。
打楽器が「ドーン」と際立つ瞬間はありますが、それは周期的なアクセントではなく、フレーズの節目を示す句読点のようなもの。
コギト雅楽の曲で手拍子ができるかどうかやってみるといいですよ。
中学生確かに、雅楽では手拍子ができない…
雅楽の思想を理解して鑑賞してみよう!
コギト雅楽はつくられた目的からして普段聴く音楽と違うんだから最初とまどって当たり前。
雅楽の成立した背景や思想を元に音楽を解説できたら、教えるのもそんなに難しくはありません。
新米先生でもやっぱり慣れていない音楽って教えづらいな…
越天楽の鑑賞授業がそのままできる教材セットを用意しました。
- 図解・音源入りのスライドデータ(PowerPoint・Keynote)
- スライド連動のワークシート(Word・PDF)
- 参考楽譜やQ&Aなど教員の周辺知識を補完する資料
楽器の一覧図、西洋音楽との比較表、音取の解説まで揃っているので、スライドを送りながら話すだけで授業が進みます。
以下のリンクから教材の中身をチェックしてみてください!
音楽の授業準備が大変とお困りの先生へ
教材準備の時間を3分の1にして定時退勤しながらも生徒が前のめりになるおもしろい授業をする方法
わかりやすく簡単に「管絃越天楽」の鑑賞授業ができるダウンロード教材あります!
- わかりやすい図解・音源入りのスライドデータ
- スライドに連動したワークシートで準備いらず
- 参考楽譜・Q&Aなど参考資料
この教材であなた自身の知識を便利に授業できるセットになっています。
以下のリンクから教員歴18年のベテラン音楽教員が10時間以上をかけて作り込んだ授業用教材が1クリックで手に入ります。
この教材は有料ですが、無料でネットに落ちている指導案やワークシートとはまったく別物。超作り込んだ教材です。教材は随時アップデートも行っているので、教科書が変わって古くなってしまうこともありません。
↓気になった方は教材をチェックです!

必要な教材全部入り!
今回は以上です!





コメント