
2025年度・高校で音楽の非常勤講師をしています。
この記事では初めて非常勤講師になる方のために、やっておいたほうがいい準備など、体験ベースで書いていこうと思います。
非常勤講師として4月から働き始める場合、勤め先の学校自体も人が入れ替わり新体制でスタートしているため、なかなかに混乱していることもあります。
- 授業に必要なことがまだ決まっていなかったり
- 正規の先生が忙しそうにしていて、なかなか話しかけにくかったり
- そもそも学校にいる時間が短いから情報が得られなかったり…
そんな中で少しでもスムーズに働き始めるために、私が実際に働き始めて「これはやっておいたほうがいい」と思ったことをシェアしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。

コギト | 音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員。辞めても教材研究が好きで続ける
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意、ICT・時短マニア
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
- ICTを駆使・時短マニアnoteで自作教材をアップ、3000ダウンロードを突破!
- 音楽教員のためのオンラインサークル「ムジクラブ」運営中
非常勤講師になる前に3月までにやっておくこと

実際に勤務するまでの間にやっておいたことは以下です。
- 管理職と勤務条件を確認する
- 授業や実際の勤務に関する情報を集める
- 確実に行う授業の準備をしていく
管理職と勤務条件を確認する
採用前に管理職との面談があると思うので、ここではしっかり勤務条件を確認しておくことが必要です。

○○さんには週12コマの授業をお願いします。
何も質問しないとこのくらいのざっくりとした話だけで終わってしまうこともありがちです。
しっかり確認しておかないと、4月に現場に入ったときに現場の先生から、

下校指導もやってほしいです

昼休み中に○○の業務の補助をお願いできますか?
という風に仕事がどんどん追加されてしまうことも起こってしまいます。
管理職と勤務条件の確認ができていたら、「管理職と確認しましたが、それは勤務外みたいです」といえるので、しっかり断れるでしょう。
管理職と確認しておきたいのは以下のような点です。
- 受け持つ授業の学年や内容
- 週に何回の勤務になるか
- 空きコマ(自分の授業がない時間帯)に業務が発生するか
- 授業以外でどんな仕事をする必要があるか
- 自分用のPCが貸与されるか
このような質問をして、自分がどこまで仕事をすればOKなのかというラインを知っておきましょう。
週8コマなのに週4勤務でバラけているとか、授業以外の仕事もたくさんあるなどといった場合、自分がやりたくないと思えばお断りすることもできます。
2025年現在は教員不足が騒がれているくらいなので、希望はそれなりに聞いてもらえる気もします。
勤務条件などは現場の先生は詳しくないため、管理職と行っておくのが大切ですね。
授業や実際の勤務に関する情報を集める
4月になる前に現場の先生とお話する機会があれば、授業に関する情報を集めておきましょう。
私は以下のようなことを確認しました。
- 来年度扱う教科書はどれか
- 服装
- 必ず行う単元
- 行事と授業との兼ね合い(音楽専科の場合は音楽会や卒業式など)
- 一日の流れ(自分の)
- 教える教室の設備(写真を撮っておく)
- 学校で決めている授業でのルール
教科書はどの出版社かによって内容も違ってきますし、年度ごとに変わる場合もありますので、受け持つ学年がその年度にどの教科書を使うのか(決まっているはず)確認しておきましょう。
教科書の内容は簡単にならWEBで確認もできますし、Amazonで買うこともできます。学校に余っていればもらうこともできると思いますし、自治体の教科書センターに行けば閲覧もできるはずです。
学校によっては「ギターが人数分あるからギターの授業をかならず行う」などのようにほぼ決まっている単元があることも。

必ず行う単元や行事との兼ね合いで行う指導(運動会・音楽会など)を確認しておくと良いですね…。
自分の出勤から退勤までの一日の流れをシミューレーションし、流れを聞いておくのも良いです。
「まず学校についたら出勤簿にサインする」というレベルから口頭で順に確認させてもらうと、自分の行動の整理にもなりますし、現場の先生が大事なことに気づいてくれたりもします。
出勤簿には未だにハンコで押印するところもあるようですから、シャチハタなど持ち物についてもわかるはずです。

「授業する教室の写真」を撮っておくのもおすすめです。
非常勤の先生は実際に授業するまでに学校にいる時間が少ないので、「あれ、テレビってケーブルも最初からついてたっけ?」とか「机は何列で並んでたんだっけ?」と授業を計画しているときに細かい情報や設備が知りたくなることがあります。
せっかくの授業の計画もせっかくやり始めたら「それはしない(使わない)ことになっています」とか言われたら水の泡なので、勤務する学校での授業ルールなども確認しておけるといいですね。
- 授業開始、終了の作法
- 出欠を取る必要があるか
- 生徒の呼び方(「さん」が多い)
- 生徒端末で使っていい、使わせていいアプリや機能
- 特別教室の席の決め方
確実に行う授業の準備をしていく
4月になっていろいろ決まっていったり、実際の生徒の顔を見たりしないとわからないことも多いので、3月中には「確実に行う授業の準備」だけをしておくのがおすすめです。
- 初回授業(オリエンテーション)の内容
- 絶対にやることになっている授業の教材研究
- 振り返りプリントなど授業で活用できそうな簡単な教材
私は以下のようなオリエンテーション(生徒の自己紹介)の計画を立てています。
【無料】音楽の授業開き用プリント・アンケートテンプレ(小学校・中学校・高校・特別支援学校)
また音楽専科の方は以下の記事も参考になると思いますので是非御覧ください。

4月の初出勤日(授業なし)で行うこと

4月になったら4/1の着任あいさつや、4/5くらいの始業式などで、「授業はないけど出勤する日」が非常勤の先生にもあると思います。
その時に確認しておきたいことは以下です。
- 3月中に確認できなかったことを確認
- 教科書と指導書をもらう
- 現場の先生に勤務条件を話して確認
- 初回授業にむけて「学校でしかやれないこと」をする
教科書と指導書をもらう
教科書や指導書を受け取って、授業計画が立てられるようにしましょう。
まだ教科書が届いていないというところもあるかもしれません。
その場合も昨年度のものや見本などはあるはずなので、必要なページをコピーさせてもらったりしましょう。
現場の先生に勤務条件を話して確認
学年や教科担当の先生と打ち合わせがあると思います。
そこで、いろいろな業務分担が話し合われたりしますが、

○○先生(自分)はこの業務をお願いできますか?(追加で)
としれっとお願いされることもあります。
自分がそのくらいならと思うのなら受けてもいいですが、非常勤は時間給なので、基本的に授業以外の業務はないはず。
管理職と確認した条件に合っていないのなら「管理職と確認したのですが、それは私の勤務の範囲外みたいなので…」と断りましょう。
少なくとも1年間は一緒に働く先生たちなので、いきなり言い争いになることは避けたいもの。

言い方には注意を払う必要がありますね…
現場の先生も忙しいのでなるべくいろいろな業務を非常勤の先生に任せたい(押し付けたい?)ということもあるでしょう。
でもそれをホイホイ引き受けると、自分の事実上の時給がどんどん下がっていってしまうので、迷ったら「考えさせてください」「管理職と確認してみます」などと言ってその場で判断しないのも一つの方法かと思います。

いい顔していたいというのはありますが、大事なところなのでよく考えて動きましょう。
初回授業にむけて「学校でしかやれないこと」をする
4月最初の出勤が終わったら次の出勤日は初回授業、ということもあるので、授業に向けて「学校でしかやれないこと」をやっておきましょう。
- 教室で使いたい設備のチェック
- プリントアウトや印刷の方法
- 生徒の情報の確認
プロジェクター・テレビ・書画カメラ・タブレット端末・Teams(Classroom)など、授業で使いたいツールが教室で使えるかどうか実際に試しておくのは是非やっておきたいですね。

自分の個人持ちのツール(PC・iPadなど)を授業で使いたい場合は持っていって使えるか試します
初回授業でデジタルなことをやろうとするとうまくいかないことも多いので、なるべく紙を使ってアナログでやるのをおすすめしますが、のちのちのために「何がどう使えるか、使い勝手はいいのか」など確認しておくと良いです。

Wi-Fiが教室内で快適かどうかもチェックしておいたほうがいいかも。
地味にチョークやホワイトボードマーカーなど用意されていそうでないものなどもあるので要確認です。
初回授業はだいたいオリエンテーションや自己紹介をすることが多いのではないでしょうか。
この日に初回授業で使うプリントなどが用意できていると印刷も済ませておけるので最高ですが、初回授業の日の朝にドタバタ準備することもあると思います。

授業当日のドタバタは避けたい…
プリントアウトや印刷がどこでどうできるのかも確認しておきましょう。
受け持つクラスの情報として、もし「配慮が必要な生徒」や「問題行動の多い生徒」がいる場合はどういう対策が必要か考えておく必要があるので、必要に応じて情報収集をします。
初回授業の日〜

ついに迎えた授業。
とはいえ初回はオリエンテーションや自己紹介で終わることも多いと思います。
初回授業の注意点は以下です。
- なるべくアナログでできるようにする
- 生徒を含めて教室の写真を撮っておく
私も最初の授業で「Teamsでアンケートフォームを配り、回答してもらって自己紹介」と考えていました。
ピアノが弾けるか、楽器経験などのアンケート項目を一覧で集計できるので楽だと思ってそうしたのですが、
- 初回授業日に授業のチームができていなかった
- 生徒(1年生)も自分用の端末を持っていなかった
などがあり、急遽アンケートフォームを紙で印刷したもので授業することになりました。

最初からデジタルでやろうとすると問題しか起きないので、デジタルの活用は様子を見ながらやっていくことをおすすめします。
非常勤講師は生徒と関わる時間が短いので、「生徒の顔と名前が一致するまで時間がかかる」ことが多いです。
可能であれば「教室の前から生徒もたちの写真を撮っておく」のがおすすめです。

あの時発言したのは○○さんか…、みたいに座席表と照らし合わせてわかるね。
まとめ 非常勤講師こそITの活用を

非常勤講師をすることが決まってから、実際に授業を行うまでの準備について見てきました。
参考になれば幸いです。
非常勤講師は学校に毎日いるわけではないでの情報が得にくく、また生徒や先生と密に連絡を取り合うこともできません。
また提出物などがすべて紙のプリントだと持ち帰るのも大変だったりします。
TeamsやClassroomを生徒も使っているなら、授業を重ねていく間で、以下のようなことができるように生徒と一緒にやりかたを覚えていくのがいいと思います。
- 連絡をTeams・Classroom上で行う
- 課題やふりかえりの提出もデジタルで行う
このようにしておくと、紙媒体のプリントアウト・印刷・配付・回収・保管の手間がなく提出物や課題の処理ができます。
授業が終わったらすぐ帰りたい非常勤との相性が抜群に良いです。

提出物を帰った後に端末で見ることができたり、言い忘れたことを連絡することができたりしますね。
このようなやりかたは慣れていない生徒はいきなりできません。
まずは授業中に説明しながらやって見させたりしながら慣れさせることも必要です。

自分が使っている授業のふりかえりをフォームで集める方法とテンプレを以下で紹介しています。
【最適化】授業ふりかえり記入フォームテンプレ(Googleフォーム・Microsoft Forms)
また、非常勤講師は「同じ内容を何クラスにもわたって教える」ことも多いと思いますので、各クラスの進度管理も重要。
私が今年度非常勤講師をやるにあたって作った、授業計画・進捗管理用のスプレッドシートもあります。
年間指導計画(授業)作成スプレッドシート(テンプレート)小学校・中学校・高校
是非使ってみてください!
今回は以上です!
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