- 変奏曲ってどんな曲なの?
- ますの第四楽章の曲を細かく解説してほしい
この記事では、ピアノ五重奏曲「ます」の第四楽章を元作曲専攻のコギトが徹底解説します!
この曲は小学校の音楽の鑑賞教材でもよく使われています。
- ピアノ五重奏「ます」ってどんな曲?
- 変奏曲とは?
- 「ます」第四楽章の各変奏について
[voice icon=”https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2020/08/0E33B023-B314-4C42-85E5-430035BAC40B-e1597742294818.png” name=”コギト先生” type=”l”] 演奏会でこの曲を聴いたり演奏する、また、音楽の授業で教える予習に![/voice]
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コギト | 音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員。辞めても教材研究が好きで続ける
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意、ICT・時短マニア
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
- ICTを駆使・時短マニアnoteで自作教材をアップ、3000ダウンロードを突破!
- 音楽教員のためのオンラインサークル「ムジクラブ」運営中
ピアノ五重奏「ます」とは?
まずはピアノ五重奏ってなに?というところから解説していきます。
ピアノ五重奏とは
ピアノ五重奏とは多くの場合、
- 第一ヴァイオリン
- 第二ヴァイオリン
- ヴィオラ
- チェロ
- ピアノ
の五人で演奏されます。(管楽器などで編成したピアノ五重奏もあります)
このオーソドックスな編成のピアノ五重奏の名曲には「ブラームスのピアノ五重奏曲 へ短調」や「ドヴォルザークのピアノ五重奏曲 イ長調」などがあります。
今回のシューベルトのピアノ五重奏「ます」は変則的な編成で、
ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ピアノの五人で演奏されます。
ピアノ五重奏「ます」とは
なぜこのピアノ五重奏が「ます」と呼ばれているのでしょうか?
シューベルトが作曲した「ます」という歌曲の旋律が使われているからです↓
ピアノ五重奏曲「ます」は第一〜第五楽章までありますが、歌曲「ます」の旋律が使われているのは「第四楽章」だけです。
第一楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ Allegro vivace イ長調
第二楽章:アンダンテ Andante へ長調
第三楽章:プレスト(スケルツォ) Presto イ長調
第四楽章:アンダンティーノ Andantino 二長調
第五楽章:アレグロ・ジュスト Allegro giusto イ長調
変奏曲とは?
ピアノ五重奏「ます」の第四楽章は「変奏曲」の形式で書かれた曲です。
変奏曲とは、元となるメロディ(主題)を繰り返すなかで、旋律を装飾したり、リズム・和音・調・拍子を変えるなど様々に変形させながらすすむ曲のこと。
最も有名な変奏曲といえばモーツァルト作曲のピアノ曲「きらきら星変奏曲」でしょう。
固定された要素(主題)の安定性や制限のなかで、どのくらいの自由な変化をさせ音楽を豊かに展開できるか、というところが作曲家の腕の見せどころです。
メロディや和音は一緒なのにこんなに雰囲気が違う!おもしろい!かっこいい!
変奏曲ではそう感じてもらえるような曲作りを目指すわけです。
ピアノ五重奏「ます」第四楽章の解説
ここからはピアノ五重奏「ます」第四楽章の変奏曲について解説していきます。
↓全曲聴いて見たい方はこちらの動画をご覧ください。カメラワークがしっかりしていて試聴しやすい動画ですね。
以下の解説では上の動画を各変奏頭出しで貼ってありますので、是非聴きながら読んでみてください!
主題(テーマ)
主題の部分の目的は言うまでもなく「主題を明確に示すこと」です。
シンプルな伴奏とくっきりとしたメロディで「主題はこれです!」と表現します。
この曲の主題は細かいリズムの変更はありますが、基本的に歌曲「ます」のメロディそのままです。
この旋律はA-Bの二部形式でできていますね(最後の4小説は前の4小説の繰り返しです)
聴き取りやすいように一番音の高いヴァイオリンでメロディを奏で、他の弦楽器が伴奏を担当します。
ピアノが出てこないのですが、それも逆にシャレていて、この後の第一変奏でピアノが潤いのあるオクターブのユニゾンで出てくることで、雰囲気がガラッと変わって、「変奏が始まる!」という切り替わりのようになっています。
[voice icon=”https://mujikurasu.com/wp-content/uploads/2020/08/0E33B023-B314-4C42-85E5-430035BAC40B-e1597742294818.png” name=”コギト先生” type=”l”] 絶妙ですね。[/voice]
第1変奏
複数の楽器で演奏される変奏曲の場合、メロディを違う楽器に受け渡す手法は常套手段。
先ほど書いたようにピアノが初めて現れるのがこの第1変奏で、ピアノのオクターブのユニゾンで主題が演奏されます。
コントラバスはピッチカートになりベースに動きがついて躍動的になり、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロは三人でアルペジオを担当します。このアルペジオは流れる水を表現しているかのようですね。
第2変奏
第2変奏では今度はメロディがピアノからヴィオラに受け継がれます。
「合いの手」をピアノが入れたり、ヴァイオリンが対旋律として軽やかなフレーズを背景で演奏していたりして、曲がだんだんと複雑になっていきます。
第3変奏
第3変奏ではメロディはチェロとコントラバスの低音弦に移動し、また雰囲気が違った変奏になります。
一つ前の第2変奏では、8分音符の三連符で演奏されていたヴァイオリンの軽やかな対旋律は今度はピアノにバトンタッチされて、すこし細かく(速く)なった16分音符で演奏されます。
メロディの低音とピアノの高音が良いコントラストになっていますね。
第4変奏
第4変奏では劇的に曲の雰囲気が変化します。長調だった曲が短調になるからですね。
主題のメロディも少し崩されています。
短調で激しい川の水流が表現されたような音楽が始まったかとおもったら、今度は同じ音型を使いながらも長調にもどって軽やかな曲想になります。これが代わるがわるに交代で演奏されて、最もコントラストの効いた変奏になっています。
曲の一番のピークもこの変奏ですね。
第5変奏
第5変奏は今までレ(ニ)の音を主音とした二長調(第4変奏は二短調)できていた曲が変ロ長調に転調して「別世界」のような雰囲気を醸しています。
主題をもとにしながらも大人な感じにメロディを変化させて、陰りのある?アンニュイな?美しい旋律を奏でます。
第4変奏の激しい音楽からこの変奏への移り変わりはとても振れ幅が大きく、飽きさせませんね。
第6変奏(コーダ)
第6変奏は最後の変奏。一般的な変奏曲の場合、コーダ(終結部)にあたる変奏はクライマックスで盛り上げることが多いのですが、この曲の場合は伴奏にもともとの歌曲「ます」のピアノ伴奏を用いて、かなりあっさりと終わっています。
その理由は、この変奏曲が、五楽章あるピアノ五重奏の4番目の曲であり、この曲で盛り上げる必要がない(第五楽章でオチをつければいいから)からではないかと思います。
この曲で盛り上げまくって壮大な最後を形づくってしまったら、第五楽章でどうすればいいのかわからなくなるっていう感じですかね。
ヴァイオリンとチェロがかわるがわるに旋律を演奏し、雰囲気としては「○○でしたとさ」という後日談のような仕上がりになっているところがキュートなコーダですね。
ピアノ五重奏「ます」第四楽章は変奏曲の名曲!
変奏曲である、ピアノ五重奏「ます」の第四楽章は美しい旋律から始まり、多彩な変化を見せる、変奏曲の名曲です。
天才シューベルトがなんと22歳で書いたことの曲の変奏の工夫に耳を澄ませてみると「同じ主題でもこんなにいろいろなことができるのか」という発見があります。
今回の記事を参考にしながら聴いて見てくださいね。
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