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【まるわかり】ベートーヴェン「運命」第一楽章を分析・解説!(交響曲第5番)

中学校音楽の授業の鑑賞として定番のベートーヴェンの交響曲第5番、「運命」の第一楽章

コギト先生
この曲を理解したり教えたりする時には、しっかりした分析が必要ですね。

今回はベートーヴェンの交響曲第五番「運命」の第一楽章を元作曲専攻・ソナタ形式の作曲経験もあるコギトが丁寧に分析します。

一つ一つの部分の作曲上の意図までしっかり解釈していきます!

この記事を読んで運命の第一楽章を理解することでこのようなことが可能です。

  • 曲とソナタ形式についてより深く理解できる
  • 曲の魅力を伝えることができる
  • 曲に対する質問にも答えられる

「運命」の鑑賞の授業をこれから行う先生は、この記事を絶対に読んでおいてください。

第一楽章をよりよく理解することができますよ。

IMSLPというサイトで、著作権フリーの楽譜を見ることができるので、曲を分析するのに便利です。運命のスコア、ピアノ譜も今回ここから引用しています。

アプリもあります↓

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【よくわかる!】「運命」鑑賞授業ネタ(ベートーヴェン交響曲第五番ハ短調)

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「運命」第一楽章はソナタ形式

「運命」第一楽章はソナタ形式という形で作曲されています。

ソナタ形式の仕組みはこのようになっています。

ソナタ形式について以下の記事で解説していますのでこちらを読んでから以下にお進みください。

【中学生でもわかる】ソナタ形式とは?ざっくり解説!

「運命」第一楽章の提示部

コギト先生
提示部は曲の基本の「主題(テーマ)」を示すことが主な役割です!

冒頭〜第一主題

まず冒頭の「たたたたーん」の部分が第一主題。

第一主題はどこからどこまで?という疑問が湧きます。

主題の範囲は、諸説あります。

  • 1〜5小節目が第一主題(赤のカッコ)
  • 6〜13小節目が第一主題(青のカッコ)
  • 1〜21小節目が第一主題(緑のカッコ)

など、解釈はさまざま。

コギト先生
1〜21小節目までのひとまとまりの楽節を第一主題としておくのが、授業で教えるときには理解させやすいです。

この第一主題を構成する最小単位の要素が「動機」になります。

私はこの曲の動機を「一つのレンガ」にたとえています。

この4つの音の「動機」を使って、主題の全てを構成しているのがすごい。

動機を使ったこの曲の構成方法は以下の動画がわかりやすいです。

システマチックというか、厳格というかミニマルというか。

他の曲の場合主題はもっと自由な旋律とリズムでメロディアスに作られることの方が多いので、このような主題の作り方は唯一。

22小節目からは「確保部」といって、第一主題が繰り返されて、主題を忘れさせないようにする効果があります。

ここは動機を「下方向に重ねていく」方法をとっていて、冒頭の6小節目(上方向に重ねる)とは逆の作り方になっていて、計画的。

33小節目からは「推移部」と見なすことができます。

第二主題を準備するための経過句(パッセージ)となる部分です。第二主題を準備していきます。

推移部には第一主題の変化形や関係のない旋律が出てくることもありますが、この曲は一貫して運命の動機で推移部も構成されていますね。

ホルンのソロと第二主題

休符と和音のカデンツがあって、音楽が一区切り。第二主題に入ります。

特徴的なホルンのファンファーレ風のフレーズ(59〜62小節)が二つの主題の橋渡しをします(画像の赤マーカー部分)。これは動機に尾ひれをつけた変化形。動機の後ろに長く伸ばす音を2つ追加したことで、運命の動機の躍動的な特徴を打ち消して、一瞬で第二主題へと音楽を誘導しています。

第一主題と第二主題には明確な「対比」があります。

第二主題はソナタ形式の基本通り、第一主題のハ短調の平行調である変ホ長調で現れ、両主題は長調と短調で対比されています。

第一主題が3音の同音連打による躍動的な主題だったのに対して、こちらは順次進行中心の旋律で流れるような優美な主題、というところも対比的。

第一主題が下行の旋律なのに対して、上行する旋律なところも対比的と言えます。

第二主題の裏でも第一主題の動機を演奏しています(チェロ・コントラバス)。通常のソナタ形式にはあまりみられませんが、ベートーヴェンがこの動機を使って曲に統一感を持たせようとしていることがわかります。

小結尾(コデッタ)

第二主題が現れた後は第二主題の旋律が変化・工夫されながら進んで、94小節からが小結尾。

小結尾の前半は第二主題の後半部分の変化形、110小節目からは第一主題が使われて、堂々としたカデンツを動機のリズムで演奏。変ホ長調の提示部が終わります。

提示部は繰り返されます。

「運命」第一楽章の展開部

コギト先生
この曲の展開部は以下の二つの要素で盛り上げています!
  • 転調
  • 主題の使用

展開部で盛り上げる要素①:転調

展開部の幕開けは提示部の冒頭の5小節の間合いが圧縮されような始まりになっています(125小節〜128小節)。Des(レ♭)の音が出てくることで、違う調に移ることが予告されています。

実際、このあと第一主題がヘ短調になりますね(129小節〜)。

展開部は転調が曲を盛り上げる大きな要素です。

  1. ハ短調(146小節〜)
  2. ト短調(154小節〜)
  3. ト長調(179小節〜)
  4. ハ長調(187小節〜)
  5. ヘ短調(196小節〜)
  6. 変ロ短調(205小節〜)
  7. 変ト長調(211小節〜)
  8. 嬰ヘ短調(215小節〜)
  9. ト長調(228小節〜)
  10. ハ短調(233小節〜)

というめくるめく転調で展開をしていきます。

展開部で盛り上げる要素②:主題の使用

提示部で出てきた動機とその変化形が使われて前半は構成されています。

第二主題は展開部では登場せずに、第二主題の冒頭で使われた、ホルンのファンファーレが2回顔を見せる程度です。(179〜194小節)

「運命」第一楽章の再現部

コギト先生
再現部は提示部と大体同じ流れ。でも全く同じではないです。

再現部でも第一主題、第二主題が演奏されますが、

  • 第二主題の調が異なる
  • 提示部から付け加えたり短縮されたりする部分がある

このような特徴があります。

再現部第一主題→オーボエソロ

248小節目からが再現部です。

展開部の転調を経てハ短調に戻り、第一主題の冒頭が今度はトゥッティ(全体合奏)で奏されます。ティンパニは主調のハ短調の属音のソを演奏しています。これは再現部で明確にハ短調を感じさせるための準備で「オルゲルプンクト(持続低音)」と呼ばれ、ソナタ形式の再現部の手前や再現部の最初によく使われます。

268小節目まではほぼ完全に第一主題と同じ形で再現されています。

268小節目で音楽がストップして、オーボエのレチタティーボ(朗唱風な)のソロが入ります。

とても印象的でここが好きという方も多いですが、構造的に特に意味はなく、単なるパッセージ(経過句)ということができます(小音符で書かれていることからもそれがわかります)。

しかしこのソロがあることで、提示部にはなかった独特の悲哀のような雰囲気が挿入されています。緻密に構造的な音楽を作ったベートーヴェンですが、このようなパッセージを絶妙なタイミングで挿入するところは芸術家のひらめきによったと言えます。

その後は第一主題の確保→第二主題への推移部→第二主題、と提示部と同じような流れで進みます。

再現部第二主題

提示部では変ホ長調だった第二主題ですが、再現部(307小節〜)ではソナタ形式のセオリー通り、「同主調」のハ長調になります。曲の終わりに向かって脇道に逸れないよう、主音の「ハ」を音楽の中心にしていくわけです。

提示部と同じ流れで進み、374小節までが再現部です。

「運命」第一楽章の結尾部(コーダ)

最後のクライマックスを形作る結尾部コーダ)は「第二の展開部」と言われるくらいにさらなる盛り上がりを見せることがあります。この曲もその例に漏れずかなりの小節数をコーダに割いています。

最初374小節からは動機を同じ音で繋げながら半音階的な転調をしていきます。合間に見せるのは運命の動機の反行型。

398小節からはホルンのファンファーレだった旋律と、小結尾の一部を逆行させたような変化形の旋律との組み合わせ。

407小節からの経過句を挟んで、

423小節からは決然とした旋律が出てきますが、これは第二主題をいじった変形の旋律。第二主題の優しい楽想全く違う曲想にしているのがすごい。

ここからハ短調から調が動かなくなります。それによってそろそろ曲が終わることを予想させていますね。

これ以降は曲のしめくくり。

第一主題が最後に静かに現れる部分。オーボエが今までにない断片のようなフレーズを演奏します。

これはオーボエということもあり、再現部に出てきたオーボエソロの断片を回想しているのかも。

しかしそれは断片以上のものではなく、運命の動機に遮られるようにきっぱりと終わりを迎えでいます。

コギト先生
以上で分析は終わりです!お疲れ様でした。

「運命」第一楽章まとめ

ソナタ形式にはセオリーがあり、運命の第一楽章も

  • 第一主題と第二主題の調の設定
  • 提示部を繰り返す
  • 展開部で転調し、主題を操作して盛り上げる

このような部分はセオリー通りです。

逆に、

  • 動機が全曲(全楽章)にわたって使われていて支配的
  • 展開部では第二主題が使われない
  • コーダが長め

という部分はセオリーからは若干外れています。セオリーは守った方が良いのでしょうか?

コギト先生
型通りに作ればいい曲ができるというわけではありませんよ。

ソナタ形式の曲はセオリー通りになっていないと不完全、というわけではありません。

実は「ソナタ形式」は後付けの理論。ソナタ形式という言葉が生まれたのもベートーヴェンの死後。

もともとあった形式にならって曲を作ったのではなく、作った曲を後々調べてみるとどうやらこんな形になっているぞ、ということで「ソナタ形式」と名付けられたわけです。

コギト先生
この時代の作曲家が純粋に美しい音楽を追い求めて曲を作った結果、ソナタ形式が出来上がってきた、ということですね。

というわけで規則通りの完璧なソナタ形式の曲を作ったところでそれが美しい音楽になるのかどうかはわかりません。規則通りに作った詩がつまらなくなる、と言われているのと一緒です。

ソナタ形式の曲を鑑賞するわたしたちも、基本の型としてソナタ形式を理解しながらもそれだけにこだわらず、一つの曲としてどのように美しくまとまっているかを解釈していくことが大事ですね。

コギト先生
以上、参考になれば幸いです!

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今回は以上です!

   

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ABOUT US

コギト先生
コギト@音楽教師歴15年・ピアノ歴20年以上。30代で アマチュアコンクールで全国入賞、国立大学の附属学校で死ぬほど研究&教育実習を担当。作曲編曲も得意で伴奏アレンジや合唱、合奏編曲もやります! 音楽の授業をクリエイティブに。アレクサンダーテクニーク(AT)指導者資格あり。音楽指導のネタやコツを発信。