この記事では、グリーグが音楽をつけたことで有名な戯曲「ペール・ギュント」のあらすじを図解入りでわかりやすく解説します。
とはいえ、ペール・ギュントのお話は結構長大で入り組んでいます。
ここでは、グリーグがこの話につけた音楽を抜粋した「ペール・ギュント組曲(第一・第二)」に出てくる場面を中心に、小学生でもわかるようにざっくり解説します。
- グリーグの「ペール・ギュント」がどんなお話に基づいているか簡単に知りたい人
- これから「ペール・ギュント」組曲を授業で扱う音楽の先生
グリーグが作曲した音楽と合わせて聴いてみてください!
↓ペールギュントの「朝の気分」と「山の魔王の宮殿にて」の鑑賞授業用の教材がダウンロードできます!
「朝の気分」「山の魔王の宮殿にて」鑑賞授業ネタ(小学校音楽)【ペールギュント】
コギト | 音楽教材研究家
- 音楽教員歴18年の元音楽教員。辞めても教材研究が好きで続ける
- 元作曲専攻で鑑賞や創作の授業が得意、ICT・時短マニア
- ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
- ICTを駆使・時短マニアnoteで自作教材をアップ、3000ダウンロードを突破!
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ペール・ギュントのあらすじ
簡単にまとめるとこんなお話です。
- ペール(主人公)は夢ばかり大きい嘘つき男
- ペールが波乱万丈な経験や旅をする物語
- 最後には「自分の人生とはなんだったのか?」と悩み、恋人の膝の上で無くなる
では少し詳しめにみていきましょう。
あらすじ1:恋人との三角関係
主人公ペールは夢ばかり大きくてウソつきの男でした。仕事もお金もないのに「いつか俺は王様になる」と大きい口を叩いていたペールに母オーセはいつも困っていました。
元恋人のイングリットが結婚すると聞き、結婚式に呼ばれてもいないのに乱入したペール。
美しいソルヴェイグという女に心惹かれます。
ですが、元恋人の結婚が気に入らないペールはイングリットもまだペールのことが好きだったこともあって、イングリットを結婚式から連れ去ってしまったのです。
あらすじ2:飽き性なペール、村人から追われる
イングリットを手に入れたペールでしたが、次の日には飽きてしまい、「やっぱりあの時出会ったソルヴェイグがよかった」と思い、イングリットを捨てます。
*この場面がペール・ギュント第二組曲の第1曲「イングリットの嘆き」の場面です。
村の人々から追われたペールは山奥へ逃げます。
あらすじ3:魔王になりたいペール、手下のトロルに追われて絶体絶命
山奥で魔王の娘と出会ったペールは「この娘と結婚すれば自分が魔王になることができる」と思い、魔王に結婚を頼みます。魔王は結婚を許すかわりに条件を出します。
魔王の条件の一つは自分の目を斬りつけるというもの。逃げ出そうとするペールは魔王の手下のトロルたちに追いかけ回されます。
*この場面がペール・ギュント第一組曲の第4曲「山の魔王の宮殿にて」の場面です。
オーケストラのみのバージョンが一般的ですが、本物は合唱つきで、合唱の歌詞はトロル(魔王の手下)の台詞で以下のような意味になっています。
ブチ殺せ! キリスト教徒の息子が山の魔王の可愛い娘をたぶらかした!
ブチ殺せ!ブチ殺せ!
指を切り落とそうか? 髪をつかんで引きずり回そうか?
尻に食いつきたいぜ! 茹でてだし汁にしようか?
串で刺して丸焼きにするかシチュー鍋で炒めようか? 頭を冷やしな!
あわやトロルに捕まりそうになったその瞬間、教会の鐘が鳴り響き、魔王の国はあとかたもなく消えてしまいました。
あらすじ4:愛しきソルヴェイグと再会するも魔王の娘に邪魔される
小屋に身をひそめていたペールの元に一目惚れしたソルヴェイグが姿をあらわします。
しかし、魔王の娘もなんとペールの子供を連れて現れ、ソルヴェイグとの仲を邪魔するといいます。
ペールは泣く泣く、愛する人を危険から守るためにソルヴェイグのもとを離れて旅にでます。
あらすじ5:ペールの母オーセの死
ペールが久しぶりに家に戻ると、母オーセが具合が悪く瀕死の状態です。死の不安を取り除くためにペールは空想話を聞かせますが、まもなく死んでしまいます。
*この場面がペール・ギュント第一組曲の第2曲「オーセの死」の場面です。
あらすじ6:モロッコの砂漠で一文なしに
世界中を旅して、だいぶ歳をとったペールはモロッコの海岸で怪しい商売(奴隷の売買)をして大金もちになっていました。
しかしお客にだまされて乗っていた船ごと全財産をうばわれてしまい、ペールは砂漠にとりのこされます。そこで向かえたどん底の朝にペールは故郷で待っているソルヴェイクを想います。
*この場面がペール・ギュント第一組曲の第1曲「朝の気分」の場面です。
祖国ノルウェーではなく、モロッコの砂漠の朝の場面だったのですね。
あらすじ7:その他波瀾万丈な経験の数々
その他にもペールは色々な体験をします。
- 盗賊から宝を横取りした豪華な服で預言者になりすまして、
- ベドウィン族にもてはやされるも酋長(しゅうちょう)の娘アニトラの誘惑に負けてお金を渡してしまう
- エジプトでは精神病院で皇帝として歓迎されたり
- 金の鉱脈をほりあてて故郷のノルウェーに船で向かうも
- 途中で嵐にあってまたも財産を失う
こんな経験を経て、ペールは故郷ノルウェーに戻ります。
*アニトラがペールを誘惑する際に一人で踊るのがペール・ギュント第一組曲の第3曲「アニトラの踊り」です。
*「アニトラの踊り」の後に劇中の背景として流れる曲がペール・ギュント第二組曲の第2曲「アラビアの踊り」です。
*ペールがアフリカでやりたい放題している間、ソルヴェイグは純粋にペールが帰ってくるのを待っています。その時に歌うのがペール・ギュント第二組曲第4曲「ソルヴェイグの歌」です。(劇の音楽では女声の歌ですが、組曲ではオーケストラ編曲になっています)
*ペールがノルウェーに帰郷する際に船が嵐に合う様子を描写しているのがペール・ギュント第二組曲の第4曲「ペール・ギュントの帰郷」です。
あらすじ8:ペールの死
無一文でソルヴェイグの待つ故郷に戻ったペールは、年老いて目が見えなくなったソルヴェイグがそれでもペールのことを待っていたことを知って、「自分の人生はいったいなんだったんだ」と思います。ソルヴェイグは好き勝手やって今頃帰ってきたペールを許し、ペールはソルヴェイグの膝の上で安らかに息をひきとります。
ペール・ギュントはあらすじを理解して鑑賞しよう
ペール・ギュントは今では組曲で音楽のみ演奏されることが多く、お話そのものや劇に出会うことは少ないですが、組曲だけ聴くにしてもお話を理解していると、鑑賞の深みが増しますよ。
↓こちらのYouTube動画でバレエが視聴できます。参考にご覧ください(埋め込みできない動画のようです)
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ペールギュントの曲の鑑賞授業では「そもそもどんなお話なの?」と児童が興味を持ちます。説明しだすとかなり複雑なお話のためしっかり理解した上でかいつまんで説明する必要があります。この教材では今回のブログ記事で出てきた図解などを挿入しながらわかりやすく音付きで解説することができます。
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