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【中学生でもわかる】通奏低音とは?わかりやすく簡単に解説!

Basso continuo
生徒

通奏低音ってなんですか?

生徒

(ヴィヴァルディの)春のチェンバロの通奏低音ってどうやって弾いてるんですか?

と生徒に質問されたら答えられますか?

この記事では

  • 通奏低音ってそもそも何?
  • なぜ即興で演奏するの?
  • 通奏低音と持続低音・固執低音との違い
  • 通奏低音ってどうやって演奏するの?

をざっくりわかりやすく解説する記事になります。

この記事を読めば、「通奏低音をバリバリ演奏できる」とはいかなくても

通奏低音の楽譜を見て「あーこれね、だいたいこうやって弾く感じだよねー」というところまで理解できるようになります。

意外と難しくないので、ぜひこれを機会に通奏低音について理解しましょう。

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ブログ運営者

コギト|音楽教材研究家

  • 音楽教員歴18の元音楽教員
  • 教員辞めても教材研究が好きで続けている
  • 元作曲専攻で鑑賞創作の授業が得意
  • ピアノはコンクール全国大会入賞レベルでピアノ動画チャンネル(YouTube)も運営
  • ICTを駆使・時短マニア
  • note自作教材の販売をし、1000ダウンロードを突破!
  • 音楽や音楽教育に関することをX(Twitter)でも発信中
目次

通奏低音とは?

通奏低音とは?

通奏低音とは主にバロック時代に行われた音楽伴奏の演奏方法のこと。

楽譜には低音(ベース)と数字が書かれていて(数字付き低音)、これをもとに即興で和音を考えてチェンバロやオルガン、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ギターなどで伴奏をします。

和音に該当する音だけでなく、曲に合う様にかなり自由にアレンジして演奏される場合もあります。

ヴィヴァルディ「春」の冒頭の楽譜

ヴァヴァルディ春第一楽章の楽譜はこのようになっています。通奏低音はチェロとコントラバス、チェンバロで構成されており、チェロとコントラバスは楽譜に書いてある音符のままに、チェンバロは「左手で書かれている音符を演奏」、「右手では数字をもとに和音の伴奏をその場で考えて演奏」します。

コギト

この写真の部分は最初の一度の和音(ミソ♯シ)が連続するだけなので、数字はほとんど書いてありませんね。

通奏低音はイタリア語の「バッソ・コンティヌオ (Basso continuo)」 の訳語でドイツ語では「ゲネラルバス(Generalbass)」とも呼ばれます。

通奏低音はなぜ即興なの?

通奏低音はなぜ即興なの?

通奏低音のパートの楽譜は先ほど見たように「ベースの音と数字」のみで書かれて(数字付き低音)いて、ベースの音以外は即興で和音付け・演奏がなされます。

コギト

その時の楽器編成や技量・聴く人などによって即興で演奏を変えていたみたいですね。

コードネームだけ書いてある楽譜にギターで適当に伴奏つけるのとノリは一緒です。

今はいろいろな人が演奏するので、和音も含めて全ての音が書いてある楽譜もあったりします

通奏低音と持続低音・バッソオスティナートは違うの?

通奏低音と持続低音(オルゲルプンクト)は違うの?

通奏低音と似た音楽用語で「持続低音」「固執低音」という言葉もありますが、それぞれ全く違うものを指します。

持続低音(オルゲルプンクト)

持続低音とは、オルゲルプンクトといい、曲の中で右手の和音が変わってもベースの音が変わらず長く続くことを指します。

ソナタ形式で主調が戻ってくる時や曲の最後などに多く見られますが使い方は様々です。

ベートーヴェンのピアノソナタ「熱情」第一楽章の再現部の冒頭はオルゲルプンクトですね。

ヘ短調の属音の「ド」の音が左手の低音でずっと続いています

またバッハの平均率クラヴィーア曲集の1巻の2番ハ短調のフーガの最後もオルゲルプンクト。

ハ短調の主音の「ド」が伸ばされて終始感を出しています

固執低音(バッソ・オスティナート)

固執低音とはバッソオスティナートともいい、低音(バス)がある一定の音型を何度にもわたって繰り返すこと。パッヘルベルの有名なカノンの「ドソラミファドファソ(原曲はニ長調)」という低音がまさにバッソオスティナートです。

他の楽器が入ってきても最初のバスの8音が繰り返されています。
先輩先生

生徒に聞かれるかもしれないし、頭に入れておかなきゃ。

通奏低音の演奏方法

通奏低音の演奏方法

通奏低音の楽譜である「数字付き低音」を和音付きで演奏することを「リアライゼーション」といいます。

コギト

ここでは簡単な楽譜でこのリアライゼーションの原理を理解してみます。

こちらの楽譜の通奏低音はどのように演奏すればいいかわかりますか?

もちろん通奏低音は即興で演奏するものなので、演奏は1パターンではないです。

リアライゼーションの基本原理
  • 左手ではベースの音を演奏(鍵盤楽器の場合)
  • ベースの上に数字で書かれた音程の音を付け加えて右手和音にする
  • 右手はある程度自由に音を付け足しても良い

リアライゼーションの1例はこんな感じになります。

最後の和音のLから見ていきましょう。ベースの音は「ド」で数字が「3・5」なので3度のミと5度のソを加えて「ドミソ」の和音になります。

一番基本的な和音の構成の「3・5」はAのように通常省略されます。書かないと演奏者が迷ってしまうような紛らわしい場合に書かれます。

Bは省略されている3と、書かれている6で、3度と6度の音を付け足して「シレソ」という第一転回形の和音になります。

Cは数字の通り3度と7度を足した和音にしています。

Dも数字通り4度と6度の音を足した第二転回形の和音になります。

Eは何も書いていないのでベースのファの音の3度と5度の音を足した「ファラド」の和音になります

FはBと同じで省略された3度と6度の音を足した第一転回形の和音になります。

Gは♯のみが書かれています。ここは3・5の数字が省略され、「3度の音が♯になる」ことが表されているので、ベースのレの音、3度のファを半音上げたファ♯、5度のラ、で「レファ♯ラ」の和音になります(ベースのレの音が♯になるわけではないので注意)。

Hは数字通り4度と6度の音を足した第二転回形の和音になります。

Iは基本通りの3度と5度の音を足した和音なので「ソシレ」の和音ですが、AやEのように「3・5」の数字が省略されていません。理由は前のHの和音とベースの音が同じだから。「3・5」の数字をここで省略するとHと同じ和音を演奏してしまう危険性があるのでわざわざ書いているわけです。

JとLも同じくKの和音と紛らわしくならないように書かれています。

Kはベースの音はJから伸ばされている「ド」の音です。そこに2・4・6の音を足すと「ドレファラ」の和音になりますが、6に右肩上がりの斜線が引かれている場合はこの音を半音下げます。よって「ドレファラ♭」の和音になります。

最後にAに戻って最初のミの音に続いて現れる8分音符の「ファ」の音は単なる和音の音ではなく、Aのミの音をBのソの音をつなげる音で、自由に取り入れられた音ですね。このような即興性があるのも通奏低音の特徴です。違う人が演奏すればこのような細かいアレンジは変わるでしょう。

ヴィヴァルディ「春」第一楽章の鑑賞授業教材をダウンロード!

コギト

リアライゼーションについて理解できました?音程や音階についてわかっていればそんなに難しくはないですね!

今回の記事で通奏低音について理解できれば、音楽の授業でヴィヴァルディ「春」の鑑賞授業で「通奏低音って何?」「どうやって弾いているの?」などの質問にも自信を持って答えられるはずです。

ヴィヴァルディの「春」の音楽の形式であるリトルネッロ形式については以下の記事で解説していますのでそちらも是非ご覧ください。

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ヴィヴァルディ「春」は曲自体は難しくないのですが、「リトルネッロ形式」「協奏曲」「バロック時代」「通奏低音」など、音楽用語がたくさん出てきて、説明がややこしくなりがち。この教材のスライドを使えば図解や音源が豊富なので、スイスイとスムーズに教えることができますよ。

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この教材は有料ですが、無料でネットに落ちている指導案やワークシートとはまったく別物。超作り込んだ教材です。教材は随時アップデートも行っているので、教科書が変わって古くなってしまうこともありません。スライド・ワークシート全て揃っているオールインワンの教材は他にはありませんよ。

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今回は以上です!

Basso continuo

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この記事を書いた人

音楽教師歴18年の元教員。鑑賞・創作・器楽合奏授業が得意。伴奏アレンジや合唱、合奏編曲もできます。国立大学の附属学校で研究主任&教育実習など経験あり。大好きな教材づくりで全国の音楽の先生の役に立ちたい。 自分の仕事を全部音楽関係にしたいから教員をやめて独立。ピアノ歴20年以上。アマチュアコンクールで全国入賞経験あり。ピアノアレンジ楽譜も作っています。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 通奏低音が簡単な数字付き低音で書かれていて、即興で(決めないで適当に)演奏されるのは、「バロック時代の当時は作曲家が通奏低音の演奏をしていたから」、というのは正しくありません。「その曲を知り尽くした作曲家であれば、わざわざ全ての音を書かなくても問題なく演奏できた」とありますが、出版譜を演奏するのは作曲者ではありません。
    通奏低音奏者は、演奏する場所(広さ、音響特性など)や楽器編成、独奏者(独唱者)の技量、聴衆のレベル、などなどさまざまな条件によって、同じ和音の中でどのような音をどのように弾くべきかを判断する必要があり、それを即興的に実践する能力があったのです。
    また、巷で通奏低音と混同されることが多いのは、持続低音ではなく、固執低音(バッソ・オスティナート)だと思います。

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