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メトロノームをいち早く使った作曲家は?【音楽授業で使える小話・アイスブレイク】

メトロノーム 最初に使ったあの作曲家
コギト

合奏や部活の練習で「カチ、カチ、カチ」とテンポを刻む、あの道具。使ったことがありますよね。

生徒

メトロノームでしょ! スマホのアプリでも使ってる!

コギト

そのメトロノームが生まれたのは、今から200年くらい前。できたばかりのメトロノームに真っ先に飛びついた、有名な作曲家がいるんです。誰だと思いますか?

男子

音楽の父、バッハ!

中学生

天才といえばモーツァルトじゃない?

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目次

メトロノームに真っ先に飛びついた作曲家

メトロノームが今のような形になって特許がとられたのは、1815年ごろのこと。

これをいち早く使った作曲家として知られているのが、ベートーヴェン(1770-1827)です。

男子

バッハじゃなかったか〜。

コギト

実はバッハ(1750年没)もモーツァルト(1791年没)も、メトロノームができる前に亡くなっているんです。

1817年、ベートーヴェンは自分の交響曲第1番〜第8番のテンポを、メトロノームの数字で発表しました。

その後もピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲などに、メトロノームの数字を書き込んでいます。

ベートーヴェンがこんなに早く使えたのは、メトロノームを売り出したメルツェルと知り合いだったから。

メルツェルは、耳が聞こえにくくなっていたベートーヴェンのために、ラッパのような形の補聴器も作っていました。

詳しいヤツ

メルツェルが作った「自動で演奏する機械」のために、ベートーヴェンは「ウェリントンの勝利」という曲まで書いているんだよ。そのあとお金のことでもめて、裁判ざたにもなったけどね。

実は発明したのはメルツェルではなかった!?

ところで、メトロノームを発明したのはメルツェルではありません。

オランダ・アムステルダムのヴィンケルという人が、1814年に今のメトロノームのもとになる振り子のしくみを考え出しました。

メルツェルはそれに目盛りをつけて、自分の名前で特許をとってしまったのです。

男子

ずるい! パクリじゃん!

のちの話し合いで「発明したのはヴィンケル」と認められましたが、時すでに遅し。

メトロノームは「メルツェルのメトロノーム」として、世界中に広まっていました。

楽譜に「M.M.♩=60」と書いてあるのを見たことはありますか?

このM.M.は「メルツェルのメトロノーム(Mälzels Metronom)」の頭文字なんです。

コギト

楽譜の中に、今もメルツェルの名前が残っているんですね。

数字でテンポが決められるようになった

メトロノームの数字は、「1分間に何回カチッと鳴るか」を表しています。

  • ♩=60:1分間に60回=1秒に1回(時計の秒針と同じ速さ)
  • ♩=120:1分間に120回=1秒に2回
コギト

時計の秒針に合わせて、みんなで手をたたいてみましょう。それが♩=60の速さです。

メトロノームができるまで、テンポはアレグロ(速く)やアンダンテ(歩くような速さで)のような言葉で書くしかありませんでした。

でも「速く」って、人によって感じ方がちがいますよね。

中学生

先生の「ちょっと速く」と、ぼくの「ちょっと速く」は全然ちがうもんね。

ベートーヴェンは1817年の手紙に、こんなことを書いています。

アレグロ、アンダンテ、アダージョ、プレストといった意味のない呼び名は、前からやめようと考えていた。メルツェルのメトロノームは、そのいいきっかけになる。

男子

ベートーヴェン、メトロノームに夢中じゃん!

書き込んだ数字が速すぎる!?

ところが、ベートーヴェンが書いたメトロノームの数字は、速すぎることで有名なんです。

たとえば1818年に完成したピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」。

第1楽章の最初には「2分音符=138」と書かれています。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」冒頭のテンポ表示
ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」の冒頭。Allegroの横に「138」

この数字どおりに弾くのはとても難しく、多くのピアニストはもっとゆっくり弾いています。

ヴァレンティーナ・リシッツァの演奏。楽譜の「138」と比べてどう感じますか?

なぜこんなに速いのか、理由ははっきりしていません。

・数字でテンポを書くのに、まだ慣れていなかった
・ベートーヴェンのメトロノームが壊れていた
・目盛りの読み方をまちがえていた

2020年には、たくさんの指揮者の演奏を調べた研究で、「おもりの上ではなく、下の目盛りを読んでしまったのでは」という説が発表されました。

そう考えると、ちょうど1分間に12回ぶんくらい速くなってしまうそうです。

生徒

天才でも目盛りを読みまちがえるんだ(笑)

コギト

本当のところはわかりません。諸説あるんです。

メトロノームが主役の曲

ベートーヴェンの交響曲第8番の第2楽章では、木管楽器が「タタタタ」と同じリズムをずっと刻み続けます。

交響曲第8番 第2楽章。後ろでずっと鳴っている「タタタタ」に注目。

この音はメトロノームのカチカチをまねしたもの、と長いあいだ言われてきました。

ただ、その話のもとになった「メルツェルにささげた歌」は、ベートーヴェンの死後に秘書だったシンドラーが作ったにせものだったと考えられています。

中学生

有名な話にも、うそが混じってるんだ…

そして極めつけは、ハンガリーの作曲家リゲティが1962年に作った「100台のメトロノームのための交響詩」。

舞台に並べた100台のメトロノームを、それぞれちがうテンポにして一斉に動かす、という曲です。

100台が一斉にカチカチ…。1台ずつ止まっていき、最後の1台が止まったら曲もおしまい。
男子

最初はただうるさいのに、最後の1台になるとドキドキする!

1963年にオランダで初演されたときは、テレビで放送される予定でしたが、放送は取りやめになったそうです。

コギト

テンポを合わせるための道具が、とうとう「楽器」になってしまいました。

次にメトロノームを使うときは、自分の好きな曲がいくつくらいのテンポなのか、合わせて測ってみてください。

「速い」と思っていた曲が、意外とそれほど速くなかったりしますよ。

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メトロノーム 最初に使ったあの作曲家

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この記事を書いた人

音楽教師歴18年の元教員。鑑賞・創作・器楽合奏授業が得意で、授業教材をnoteにアップしています。伴奏アレンジや合唱、合奏編曲もやってます。国立大学の附属学校で研究主任&教育実習など経験あり。大好きな教材づくりで全国の音楽の先生の役に立ちたい。 自分の仕事を全部音楽関係にしたいから教員をやめて独立。ピアノ歴20年以上。アマチュアコンクールで全国入賞経験あり。

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