雑誌「教育音楽」の2021年一月号が手元にとどきました。

今回の1月号では、3月に迫った「卒業式」についての特集が組まれています。

今年の卒業式に関しては頭を悩ませている先生方も多いはず。

気になるトピック はこの3点
卒業式ソングランキング
今年の卒業式で演奏を行うかどうかと、行う場合の形態アンケート結果
音楽教員は卒業式を利用する!?
順にみていきましょう!
Contents
卒業式ソングランキング
↑「教育音楽 中学高校版2021年1月号」p.31より

2021年1月号には
卒業生の合唱の曲ランキング
在校生・全校合唱の曲ランキング
卒業式のBGMランキング
3年生を送る会の歌ランキング
が掲載されています。
これから卒業式の歌を決める先生や、初めて卒業式の担当や学年になった先生はチェックしておくと、
定番の曲が知れたり、
自分の知らなかった良曲が見つかることがあるので、オススメです。

定番曲の中でも圧倒的に強いのはやはり「旅立ちの日に」です。
元中学校の先生が現職の時代に作ったというから、他のプロの作曲家先生を押さえての第一位というはすごいですね。

別冊の「楽譜資料」も
「虹が生まれる」(作詞作曲:ミマス)や、
「星影のエール」(作詞作曲:GReeeeN)の
合唱アレンジが載っていて、卒業式シーズンに取り上げる歌の候補にしても良いかもですね。
今年の卒業式で演奏を行うかどうかと、行う場合の形態アンケート結果


昨年度の卒業式についてはこんな結果になっています。
○卒業式で歌唱等を行った学校は半分程度
○歌唱を行った学校の90%は時間短縮やプログラム削減、配置や人数制限などの工夫をして行った
そして、令和2年度の卒業式に対してはこのような結果になっています。
●歌唱等の演奏活動を行う予定の学校は38.5%
●演奏の実施が未定の学校は53.3%で、8.1%は実施しないことを決めている
●演奏を実施する学校でも、例年通り実施する学校はごく少数


その他、職員会議での検討事項や、3年生を送る会は実施するかしないか、
などのアンケート結果も載っています。
音楽教員は卒業式を利用する!?

埼玉大学附属中学校の副校長である佐藤太一さんの記事で、
『義務教育最後の生徒の姿を「音楽科」としてどのように捉えるか』
という記事がなかなか面白かったのでみなさんもよければ読んでみてください。
卒業式の歌の指導は音楽の授業と分けて考えない

と思っている先生方も多いはず(事実だし)。
この
「卒業式の演奏(歌)の指導が負担」
「卒業式の演奏(歌)の準備のせいで音楽の授業で鑑賞や器楽などの他の活動ができない」
という悩み、
佐藤さんは、

と書いています。
「しかし、逆に捉えれば素晴らしいことです。音楽科で学習したことを発表したり、全校や学年で学習の成果を共有したりする場を学校が用意してくれているわけですから。私の中ではいつしか「音楽科が学校行事を利用する」という発想になりました。」
(「教育音楽 中学高校版2021年1月号」p.22より)

卒業式の歌指導の負担感を軽減したい先生は、卒業式の歌を中心に音楽の授業をやっちゃう
卒業式の歌指導ばかりでなくちゃんと音楽の授業もやりたい先生は、卒業式の歌指導分、音楽の授業では歌唱を少なくして、鑑賞や器楽など別の単元をしっかり行う
「音楽の授業は音楽の授業、儀式は儀式」
と、分けて考えてしまわずに、
自分の指導スタンスに合わせて、うまく活動を按分してしまえば良いということ。
(筆者の佐藤さんは後者寄りみたいです)
特別活動の儀式的行事と、音楽科の「生活・社会と関わる音楽」
このような主張も書かれてありました。
「卒業式などの儀式的行事において、音楽の役割は重要です。一方ではっきり行ってしまえば、無音・無音楽でもすべての行事は成立します。しかし、特別活動の儀式的行事で育成する資質・能力の一つである「厳粛で清新な気分を味わい、行事を節目としてこれまでの生活を振り返り、新たな生活への希望や意欲につなげようとする態度」などをより効果的に育成しようとしたときに、やはり音楽は大きな役割を果たします。また音楽科の立場からすれば、新学習指導要領で示された「生活や社会の中の音や音楽と関わる」という視点で、学校行事と音楽を関連させながら、音楽の意味や必然性について実感を伴って理解させることも重要です。」
(「教育音楽 中学高校版2021年1月号」p.23より)
音楽科として、音楽の意味や必然性について何が教えられるか、と考えたときに、
卒業式は良い機会になるかも知れません。
次のようなことが思い浮かんだので、ツイートしました。
「裏卒業式」という企画、面白いかと、「教育音楽」の記事を読んで思ったりしています。
新学習指導要領の「生活や社会の中の音や音楽と関わる」という目標に照らして、卒業式の入退場の曲、授与の曲、卒業生の歌などのプランニングを生徒にさせてみるという鑑賞?の授業とか面白いかも。— コギト@教員(音楽)パフォーマンス向上ブログ (@PIANISTTEACHERC) December 18, 2020
例えば、卒業式の入場の音楽では「威風堂々」(エルガー)が定番ですが、
「威風堂々」を流すことで、どんな雰囲気を与えようとしているの?
もし他の曲にするならどんな曲がふさわしいと思う?その理由は?
と、グループを作って、
生徒たちに
自分たちの卒業式のプレイリストを作ってみる授業
というのも面白いのではと思いました。


まとめ あなたの学校の卒業式は?

卒業式まであと2ヶ月(これを書いているのは2020年12月です)。
あなたの学校の卒業式の歌、どうなりましたか?
今回の記事が参考になれば幸いです。
もし卒業式の歌や演奏の関係で迷ったりすることがあれば、
「教育音楽」の2021年1月号を手に取ってみても良いかも知れませんね。
売っていない書店も多いので、ネットで購入がオススメです。
↓小学校版もあります。
では今回は以上です!
