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「アレクサンダーテクニーク」というのは簡単に言うと、
F.M.アレクサンダーが創始した、「楽に(効率的に)体を動かす」メソッドのことです。



最近話題のこのような本もアレクサンダーテクニークの概念を元に書かれています。
私自身、ピアノの演奏がうまくいかないことや、腰痛も、アレクサンダーテクニークを習得することで解消でき、今は指導者の資格を取得し、音楽の授業にも生かしています。
今回の記事では、授業の始めの発声練習でよく言いそうな、



というフレーズを深掘りしてみます。
っていうかそもそも、どうやったら「まっすぐ立てる」のさ?
「背筋をピンと張って」とか?
「腹筋に力を入れて」とか?
実は↑のような「背筋を張る」「腹筋に力を入れる」というのは、逆に理想的な立ち姿勢(すなわち歌う・演奏する時に有利な姿勢)を阻害していることが多いのです。






アレクサンダーテクニークにおいて、楽な姿勢、動き方の大前提となるポイントは以下です。
- その為には体を支えている部分に「乗っかる(体重を乗せる)」
- 息を積極的に吐くことで余分な力を積極的に抜く
- 頭は高いところに位置付ける



この記事では①の体重を乗せるアクティビティを紹介していきます!
普段何気なく使っている「良い姿勢」という言葉ですが、
良い姿勢を実際に教えることはかなり専門的な知識が必要です。
アレクサンダーテクニークについて知り、「良い姿勢」の考え方をつかめば、
- 良い姿勢について具体的に理解、説明ができる
- 姿勢のどこをどのように改善すれば良いか指導できる
- 歌や演奏の指導での姿勢(ひいてはあらゆる場面における姿勢や動き方)について指導ができるようになる
かも。



アレクサンダーテクニークは音楽の授業だけではなく、他の授業、ホームルーム、体育とかいろんな指導に活かせそうです。
最後までご覧ください!
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楽に立つとは、骨のバランスだけで立つこと
「まっすぐ楽に立つ」ためには、バランスが重要になります。
バランスが悪い姿勢でいると、
バランスの悪い姿勢を維持するために余計な筋肉の力が必要になり、
結果、余計な力が入り、
それはあらゆる動作についてマイナスに働きます。
そしてバランスの良い姿勢は極論「骨のバランスだけで立つ」ということです。



例えば、
このリコーダーが人間の骨だとします。
↑自立してバランスよく立っています。
まっすぐ立っていない場合、このバランスが悪くなるわけで、
↑イメージ的にはこんな感じでしょうか。
そうなってしまうと、
もちろんバランスが悪くて倒れてしまいます。
でも、人間には筋肉があるので、倒れそうな状態でもこんな風に、
↑バランスが悪い姿勢でも筋肉で支えることができるわけです(写真の手が筋肉だと思ってください)。
当然人間はまっすぐ立っているだけではなく、いろんな姿勢や動きをしなければいけないので、
↑のように筋肉の力(支え)を使ってバランスの悪い体勢を支えるのが通常です。
でもそれが癖になって逆にこんなことも起こりうる、というのが次の写真。
↑ん?手、要る?
リコーダー(骨)はそのままでもバランスをとって自立できるのに、
手(筋肉)を使ってさらにそれを倒れないように支えてしまっています。
本来必要のない筋肉を使って、体を支えてしまっている、
立っているだけなのに、やたらと力を入れている、
このようなことを無意識にしてしまっている人はかなり多いのです。
立っているだけでも力を入れてしまっている人は結構いる。



このような体の支え方では、もちろん体の支え自体は強固にはなります(後ろから急に押されたりしても持ち堪えられる)が、その他の動き(自在に動く、声を出す)に対しては制限をかけることになります。
ただ立っているだけで無駄に筋肉を使っているので、疲れやすくもなります。
「自由に動く」、「自由に歌う」ことができる姿勢は、
「なるべく骨のバランスだけで立っている状態を実現し、余計な筋肉の力を入れないこと」
ということになります。
体重をしっかり足に乗せるアクティビティ
アクティビティの大事なポイント



これは体重をバランスよく足に乗せるアクティビティになります。
引用:ケンダル「筋:機能とテスト」より
↑は理想的なバランスで立っている場合の足の部分の図ですが、
重心は矢印で示されているように、
かかとでもつま先でもなく、くるぶしの真下あたりになります。
(私は授業では「靴のベロベロ(シュータンというらしい)のあたり」と説明しています)
重心がこの部分にきてバランスよく立つことができていると、
感覚的には「足の裏全体に体重がかかっているように感じられるはず」です。
これを生徒が感じとることができるようにアクティビティをやってみましょう!
アクティビティの流れ
ここからは実際の授業の進め方の例でご覧ください。
(発声練習の前に行うことを想定しています)



そうするとさ、足のどこに体重がかかってる?かかと?つま先?
(かかと・つま先どっちに自分が体重をかけているか感じ取ってみる。先生はそれぞれの生徒の姿勢をみて回る。黒板に足の裏のイラストを図示するのも良いと思います。)






(どっちか「わからない」と答える生徒は実はバランスの良い「足の裏全体にしっかり体重がかかっている可能性があります。「わからない」も、答えの選択肢に入れておいてあげましょう)



(みんなで一斉に姿勢を前に倒してみる)









(姿勢を後ろに倒してみる)



(これに加えて、左右に倒れて体重が右足・左足にかかる状態を感じるアクティビティを追加してみても良いです)
この後、バランスの良い立ち方について説明します。









つま先に体重がかかる「前傾の姿勢」とかかとに体重が乗る「後傾の姿勢」両方の姿勢を振り子のように行ったり来たりさせながら、重心の位置を感じとらせ、次第に振り子の揺れを少なくしていき、「足の裏全体に体重がかかるポイント」を生徒自身の「感覚」で掴み取らせましょう。









一度時間を取ってここまでやっておくと、
次の授業からは、



という指示だけで生徒がこのアクティビティを思い出して、バランスを探して立つようになります。
「足裏べったり」=「バランスの良い立ち方」ができたところで、



と、息を吐くことを促してみましょう。
息を吐くと、体の余分な力を抜くことができます(これ重要)。
以上、立ち姿勢のバランスを探すアクティビティでした。
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まとめ
「まっすぐ立つ」というのは実はなかなか難しいものです(やるのも教えるのも)。
教育現場では「姿勢を良くしなさい」「まっすぐ立ちなさい」「まっすぐ座りなさい」という指示が飛び交っていますが、
「じゃあどんな姿勢で座れば良いのか」
ということをしっかり説明できる人は少ないのではないでしょうか。



今回紹介したアクティビティは体重を乗せるポイントについての説明でしたが、
立つ時の姿勢の良し悪しは「体重を乗せる足の裏のポイント」だけによるものではありません。
アレクサンダーテクニークからすれば、
頭の位置や腰の反らせ方、それらの全身における関係などを総合的に考えていく必要がありますが、
それを一度に教えるのは無理です(私も習得までに3年くらいかかりました)ので、
少しずつ学んでいくことが必要です。
授業の少しの時間で、このようなアクティビティを重ねていけば
姿勢や動き方が変わることで、生徒にもいろいろな良い変化が現れることもあります。
- 良い声が出るようになった
- 座っている時の姿勢もよくなった
- 授業に集中できるようになった
などなど。



ぜひ取り入れてみてくださいね!
アレクサンダーテクニークの入門書としてはこちらがオススメです(私が通っていたアレクサンダーテクニークの先生の著書です)
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