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3月は卒業式シーズン。
小中学校や特別支援学校の卒業式では、
卒業生の入退場、卒業証書の授与時に、ピアノでBGMの生演奏をすることがよくあります。



という気持ち。
もちろん全員の先生がそう思っています。
生徒たちの思い出に残る曲をお世話になった先生が生でピアノで弾く。
生演奏があると、場の雰囲気がとても華やかになり、ちょっとしたサプライズ感もありますね!



と依頼された音楽の先生、多いのではないでしょうか。
ただ…。



と言いたくなりませんか?(私は思ってます)
(記事の最後に今回自分でアレンジした卒業式ピアノBGMの動画と楽譜を紹介していますので、ぜひご覧ください!)
卒業式のBGMを生演奏するのはとても大変
- BGM用に曲をアレンジする必要がある
- 式の進行に合わせて時間調整して演奏する必要がある
- ハイプレッシャーな空気の中、ミスが許されない
BGM用にアレンジする必要がある



と、卒業学年の先生にお願いされる、BGM用の数曲…。
頼む方は一瞬で仕事が片付くのですが、演奏する方はここからが地獄の一丁目。
頼まれた曲の中には生徒が好きだからという理由だけで選んだ、
卒業式には全く似つかわしくない「今流行っている曲」などが入っていることもあります。
楽譜は用意してくれたりもしますが、
用意された楽譜の通り弾いたところで
卒業式のBGMにふさわしいムードではないことがほとんど。
結局演奏者でアレンジまですることになったりします。



式の進行に合わせて時間調整して演奏しなければならない
また、式の進行が当日早くなったり遅くなったりすることもあるので、
本番でアクシデントが起きて進行がストップ。演奏時間もそれに合わせて伸び、
3分で終わる曲を5分引き続けなければいけない、
ということもあります。
曲の一部分を繰り返したり、カットしたりしながら、
ちょうど式の進行のタイミングで曲が終わるように演奏できるように練習しておく。



厳かなプレッシャーの中、ミスが許されない
そして本番は厳粛な卒業式の雰囲気の中、
ミスなく弾ききらなければいけません。



一度やってみるとわかるのですが、
ピンと張り詰めた、大勢が静かにしているあの卒業式の空気の中で、
自分のピアノの音だけが鳴るの、結構緊張するんです。



私は卒業式のBGM演奏を毎年依頼されるため、
感慨ひとしおの表情で卒業生を見守る、という経験がほとんどありません。
ピアノの演奏をやりきることで頭がいっぱいです。
(喜んでももらえるのですが…)



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大変なのにいろいろと割に合わない
卒業式で生演奏することの大変さに加えて、
この仕事自体に対してモヤっとしてしまうポイントがあります。
- 「ピアノ弾けるから(好きなんだから)いいでしょ」みたいな言い方される
- 生徒の成長には直結しない
- 費用対効果に薄い
- 他の仕事が減るわけではない
- プライベートの時間を削って練習することになる
「ピアノ弾けるから(好きなんだから)いいでしょ」みたいな言い方される
ピアノが大好きで趣味な私はよくこのように言われます。



いやいや、お前が決めるなよ。
そうですよ。ピアノ好きですよ。
でもだからといって、ピアノ弾けるならタダでなんでもやります!ってわけないじゃないですか。
「ピアノ好きな人だからやってもらえるだろう」という感じで気軽に依頼されると、
その前提、おかしくないですか?と反論したくなってしまいます。
生徒の成長に直結しない
当たり前ですが、学校は「生徒が成長する場」であり、そのために教員は働いています。
生徒にとって生演奏は良い卒業式の思い出にはなるとは思いますが、
特に学習として何かを学んだ、ということにはならないと思います。
生徒の成長には直結しないというところもモヤっとするポイントです。
ただし雑誌「教育音楽」の2021年1月号に書かれていたように、
「自分たちの卒業式のBGMを作ってみる」みたいな学習を音楽の授業で行い、



ということになったのなら、これは「音楽と社会とのかかわり」を考えることをねらった、とても良い学習になると思います。






以下の記事で卒業式のBGMを学習に取り込むことについて紹介しています。


↓教育音楽2021年1月号は卒業式特集。卒業式のBGMランキングも掲載されていて参考になります。
費用対効果が薄い
卒業式のBGM演奏をすることに費やす練習時間(自分の場合は5時間〜10時間くらい、演奏が得意な人はもっと少ないかも?)
に対して、どのくらいの効果やメリットあるのかも疑問です。
今は割といい音源&いい音響もあるので、「卒業式BGM集」のようなCDを流すことでも結構感動するBGMの環境は作れると思うのですがどうでしょう?



他の仕事が減るわけじゃない
最後にこれ。
この演奏の仕事はいつもだいたい「追加の仕事」として依頼されるのが、最大のモヤモヤするポイントです。
年度の最初から「卒業式のピアノ担当」として仕事が割り振られて、
その分他の仕事が軽くなるのであれば、
私は大好きなピアノが仕事になるわけですから、
よろこんでやります。
でもこのBGM演奏の仕事は、そのような形でお願いされたことはないです…。
完全な追加の仕事になるのです。
プライベートの時間を削って練習することになる
卒業式のBGM演奏のための練習時間が、勤務時間内に取れれば良いのですが、
練習の時間をとることは難しいんですよね。
学校で練習するのが恥ずかしいとか、
仕事してないような目で見られるような気がやりにくい、
という人は結局家に持ち帰って練習することになりますし、
勤務時間内の仕事が減るわけではないので、せいぜい休憩時間内の少しの時間で練習するくらいしかできません。



そして今年も私は卒業式でピアノを弾く



ここまで書いてみて、私自身卒業式のBGMを生演奏で行うことに関する意見は以下です。
[icon class="far fa-check-circle fa-lg"]費用対効果や業務量を考えるとなくても全然OK
[icon class="far fa-check-circle fa-lg"]演奏する人自身が「やりたい」と思えるならやればよい
[icon class="far fa-check-circle fa-lg"]依頼には配慮がほしいところ
私は今年もピアノ演奏を依頼されましたが、最初はお断りしました。
この仕事自体が大変ということもありますが、
もしこの仕事が後任の先生にそのまま引き継がれるのて大変になってしまうのはかわいそうだと思ったからです。
ただ今年はコロナ禍ということもあり、
卒業式で歌も歌えないのでせめて演奏はしてほしい、と言われ、結局演奏することにしましたが、
「来年から生演奏はなくしていく」という方向で今年は演奏するという条件でOKしました。



もちろん卒業式が華やかになる良い取り組みには違いないと思いますが、
それは「やった方が良い」ことではあっても、「やらなければならない」ことではありません。
「やったほうが良い」ことをどんどん増やしていくと現場はパンクします。
私たちの仕事はあくまでも「授業をすること」であることをしっかり見据えて、
本質的でないものはカットしていくという英断は必要なのだと思うのです。
なんてことをブツブツ思いながら、これからBGMのアレンジ&練習です。



この機会に自分でアレンジした卒業式のBGM用ピアノ楽譜をいろいろ出していきます。
アレンジの時間がない人にとっては便利だと思います。以下で視聴&購入ができますっ。
♪卒業式BGM・ピアノ生演奏用アレンジ楽譜
卒業式で生演奏するBGMは
- 卒業式に合わせた雰囲気にアレンジする
- 進行に合わせて演奏の長さを変える
必要があるので、
一般に売られているピアノソロの楽譜を買ってきて、
それをそのまま演奏しても雰囲気に合わないし、時間調整も難しいことがほとんど。



卒業式で演奏のためだけに考えたアレンジなので、
- 静かで目立ちすぎない、厳粛な卒業式に合うアレンジ
- 部分ごとに区切りを作って、繰り返しなどで時間調整がしやすいアレンジ
- 雰囲気は損なわずに大胆にアレンジして演奏者に弾きやすく
こんなことに気をつけてアレンジしました。
BGM演奏のために一般で売られている楽譜を買うよりは、
卒業式の演奏に使える楽譜になっていると思うので、ぜひどうぞ。
SAKURA/ いきものがかり(卒業式BGM用ピアノソロ楽譜)
他の曲もあります↓
これから他の曲も随時アップしていく予定ですので、
卒業式間近、曲の選定やアレンジに迷ったらのぞいてみてくださいね。
では今回は以上です!
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